石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

映画『彼女を見ればわかること』感想

彼女を見ればわかること [DVD]

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キャリスタ・フロックハートがレズビアン役を好演

なぜかあんまり触れられることが無いみたいだけど、この映画、キャリスタ・フロックハート(アリー・マクビールの人ね)がレズビアン役で出演してるのよ。で、DVDで観てみました。レズビアン役と言ってもそれが映画のメインテーマってわけじゃなくて、オムニバス的に語られていく中のいち主人公がたまたまレズビアンである、っていう流れなんだけどね。

全体像

全体的には孤独を抱えた女性たちの姿が淡々と描かれています。たとえば、

  • グレン・クロース……老いた母を介護しつつ、孤独に悩む女医
  • ホリー・ハンター……不倫の恋をしているワーキング・ウーマン
  • キャメロン・ディアス……盲目だけどアグレッシブな女性、でも付き合い始めた男に裏切られて……

……てな感じ。で、キャリスタ・フロックハートは、不治の病を抱えた女性の恋人の看病をしてる女占い師の役なの。観てて、せつなくなったわ。(ま、どのエピソードもせつないんだけど)

ひとつひとつの話がひっそりと絡み合う、淋しくて、優しくて、静かな映画でした。

レズはイロモノ扱いですか?

ところで、あたしが見たのはDVDだから、予告編とかいろいろついてるじゃない? それを観てみたら、「オリジナル劇場版予告編」「日本版劇場用予告編」には、キャリスタ・フロックハートはただの占い師としてしか出てないの。介護シーンすらまるで無し。

何よコレ? 検閲でも入ったワケ? 

レズなんか出したらイロモノと思われるとでも? 

「ウーマン・ラブ・ウーマン」みたいな映画には、まるでAVみたいなキャッチコピー付けたりするくせに、なーんでこういうところでは軽やかに無視られちゃうのかしらねー。幸い、「ビデオ用予告編」にだけは、ちゃんとキャリスタが女性の恋人を看護して、やさしくキスしてるシーンも入ってたんで、

「よーし! これは許す!」

と叫んだんだけど。

レズビアンであることは話の本筋にはほとんど関係ないからそれで省いた、という見方もできるけど、怪しいなあ。だって、この映画に出てくる女性たちは全て、理想的なアメリカ人家族幻想から遠いところで孤独を抱えてひっそりと生きている人たちだから。女占い師がレズビアンだという設定も、周到に練られたもののようにあたしには思えるわ。敢えて予告でそのことに触れないのは、映画全体に変な先入観を持たれないようにという配慮だったのかしら。うーむ。

まとめ

セクシュアリティーはこの話の主題ではないけれど、大事な要素のひとつです。同性愛者が犯罪者でも愛の殉教者でもなく淡々と描かれているのには好感が持てます。そういう意味ではなかなかよくできた映画でした。しみじみ系の話が好きな人におすすめ。