石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

映画『Girls Who Like Girls』感想

Amazon.com: Girls Who Like Girls: Jeanie Rivers, Miko Lee, Charlie (II), Summer Breeze, Angelina DeCarlo, Pauline Edwards: Movies & TV

レズビアン版「セルロイド・クローゼット」?

ひとことで言うと、レズビアン版「セルロイド・クローゼット」。つまり、ハリウッド映画におけるレズビアンの歴史を丹念に追ったドキュメンタリー……の、はずなんだが。

笑える。 あまりにも笑える。

だいたい、作品冒頭の、

「レズビアンは映画の初期時代から、スクリーンに登場してきました」

とかいう真剣なナレーション(以下、日本語訳はすべてみやきちによります)のバックに流れる画像が、「白黒映画でチャップリンのような動きの高速股間まさぐりを披露するレズビアンカップル」だったりするし。(まるでマッシーンのやうな動きなのよ、アナタ!)

おまけにそれ以外にもあまりにもブッ飛んだシーンがてんこもりなんで、このビデオに登場する個々の映画の感想を公開することにいたしました。

では、年代順にレビューだ!

1930~50年代

(タイトル不明)

映画の中に最初にレズビアンが登場するのは1934年のことらしい。 タイトル不明なんだけど、悪魔の前で自分の罪を告白して裁かれる、というシーンで、タチっぽい外見の女性が、

「私は女性ですが、男性のような格好をするのが好きです」

と言って、すかさず、

「地獄に落ちろ!」

と落っことされる映画がありました。ずいぶんな扱いねー。

"The Fourth Sex"(1950)

ダンスシーンに、目が点。

何がって、ほら、「ショーガール」とかでおなじみの、バーの周りをくるくる回ったりグラインドしたりするセクシーなダンスがあるでしょ? あれをこの映画では、なぜか2本のバーでやってます。 しかも、一応、踊っているのはレズビアンという設定らしいんだけど、なんでか2本のバーの間から顔突き出して、狂ったように頭をヘッドバンギング。ねーちゃん、何か悪いもんでも食ったのか?

おまけにバーが2本なもんだから、回りながら腰を落としたりグラインドしたりという動きもあんまり無く、ひたすら頭を振りまくってるの。ていうか、体も一応シェイクシェイクしてるんだけど、お電波様が乗り移った痙攣のようにしか見えません。ちなみに途中から乳ほり出してやってたりするんだけど、どう見てもセクシーさとは百万光年ぐらい遠いです。笑いを狙ったんなら大成功だと思うけど。あたしゃ、息ができなくなるほど笑わされたわ。

ひとこと感想
なぜこれがレズビアン映画に分類されてるのか、謎。

1960年代

"Carmen, Baby"(1966)

60年代に入ったせいか、ようやく女同士のカラミが出てきます。 でも、それはあくまで男性を興奮させるための前フリ、という設定で、事実、女性がふたりで抱き合ったりキスしたりするアングルはまるで無し。ご奉仕を受けてる女性の表情だけが延々と映し出され、しまいには男が乱入して、あとはお決まりのパターン。

ひとこと感想
なんか、現代日本のださいAVみたいでいやん。

"Dirty Girls"(1964)

男だと思っていた恋人が、実は女だったというストーリー。恋愛関係が描かれている分だけ、「Carmen, Baby」よりはマシかな。

しかし、シャワーシーンを見られた主人公が扇情的に 「私を洗って」 とお願いするのを聞いて、おお、これは! と期待したものの、洗う側のレズビアンはスポンジ持って相手の肩周辺を適当になでるだけ。エロエロ度まるで無し。あたしの期待をどうしてくれる。

ひとこと感想
当時はこれでもドキドキもんの映像だったんでしょうか。

"Her and She and Him"(1969)

モデルを志すノンケの女性が、レズビアン女性クロードに惹かれていくという話。ここらへんから、少しはまともなレヅ映画の潮流が出てくるみたい。

この映画にも、"Dirty Girls"と同じく入浴シーンが出てくるんだけど、こっちはもっとイケてるわよ! セックスシーンも、キスや優しく抱きしめる場面がちゃんと描いてあってナイス。

台詞も楽しいわよ。経験がないからととまどう主人公に、クロードが、

"You'll see, you can learn very quickly."

とかフェロモン全開で言っちゃって、そのままキスになだれこんだり。

ひとこと感想
確かにquicklyだわね。クロード、アンタ正しいわ。

"The Alley Cats"(1965)

やはりこれも、ヘテロの女性がレヅに惹かれる話。だけど実はこれ、わざとリップスティック系の女性を2人からませて、男性が好みそうな展開を狙った作品なんだそうです。

ひとこと感想
ノンケ男のオカズ用という点でマイナス50点。

1970年代

"The Lickerish Quartel"(1970)

さすが70年代と言うべきか、刺激度は60年代よりアップです。女同士の拘束プレイのフィルム(ビデオじゃないところが時代だわ)を見ながらセックスするとか、工夫されてます。カット割りとかもだいぶ新しくなってきてる感じかな。

ひとこと感想
よーやく、時代が進んだか……。

と思いきや、

"Sexus"(1964)

って映画に、もっと挑発的なシーンがあるのよね。60年代だけど。

"The Lickerish Quartel"と比較してみるとおもしろいんだけど、こちらはどっかの地下めいたあやしいレズビアンバー(なのか?)で、立ったまま拘束された美女を前に、ブッチ系のレヅが鞭持ってセクスィーに踊る、ってやつ。別にほんとに鞭で打つわけじゃなく、しまいに拘束を解かれた美女と一緒に、支配と服従のダンスを踊る、って趣向。これ、わりとよくできてると思う。

ひとこと感想
この時代にこれを作ったのはエライ。

"The Score"(1972)

70年代っぽさ炸裂の映画。つまり、ハダカもレズビアニズムもグループセックスも何でもありありの世界。腿までのストッキングをいやらしげに脱がすシーンなんかは、良いと思う。でもその後あけすけに相手の股間を凝視するシーンは、ちょっとひいたわ。さすが肉食民族は発想が違う。

ひとこと感想
どうでもいいけどドラッグはやめなさい、ドラッグは。(そーゆーシーンがあるのよー)

"Am I Frigid, Why?"(1973)

これはかなり、最近の映画に近い感覚で見られますね。「男に見せるためのレズビアン」でも、「性革命の一環としてのレズビアン」でもない感じで。

ひとこと感想
でも、しまいにスリーサム(女3人)とか出てくるあたりは、やっぱ時代の流れ? フリーセックス? フラワーチルドレン? (意味不明)

"Naked Came the Stranger"(1975)

これもやっぱり男装するレズビアンの話なんだけど、主人公はちゃんと恋もするし、イイ奴だし、自分を肯定して生きてます。悪魔にいきなり断罪される1934年の映画からすると、
凄い進歩ね。ここまで来るのに40年以上かかったのかと思うと、感慨深いわ。

ひとこと感想
でも主人公の腰使いは、ちょっと笑える。まるで人形を2個正常位で組ませてカクカクしてるような特異な動きです。

まとめと感想

この映画でカバーされてるのは70年代ものまでなので、レビューはこれにて終了。それにしても、あたし自身、このビデオ見るまで、映画界のレズビアンの歴史なんて知りませんでした。だいたい、そんなに昔から映画にレズビアンキャラが登場してたってことすら知らなかったし。これ作った人、よくここまでのマイナー資料を集めたもんだと感心。

腹筋が痛くなるほど笑える、って点だけでも見て損はないけど、 「ああ、こういう積み重ねの上に、今のレズビアン映画があるのねー」と感慨にひたるって意味からも、たまにはこんな映画を見てみるのも悪くないかも。興味がある人は探してみてね。