石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

PSゲーム『あやかし忍伝くの一番』(翔泳社)レビュー

あやかし忍伝くの一番

あやかし忍伝くの一番

傑作な百合恋愛シミュレーションゲーム

Windows、PS、セガサターンと3種類のハード用が発売された恋愛シミュレーションゲームです。ちなみにエロゲーではありません。今回は、3者のうち一番完成度が高いと評判のPS版をやってみました。

表向きは「学園忍者育成シミュレーション」とされているこのゲーム。実はマニアの間では、女性主人公が女の子とラブラブになっていく異色の学園恋愛ものとして有名です。
どうせ男性プレイヤー向けの作りなんでしょ、と思いながらやってみたのですが、意外にも素晴らしい出来でした。女の子同士のイチャイチャが見たい人に、真剣にお勧め。

ちなみに異性間の恋愛が一切出てこないという思い切った作りになってます。レヅというより百合風味なシナリオは、ドキドキ感があってなかなかステキです。コンシューマゲームでよくここまでやったものだと感動しました。

攻略対象

攻略できる女の子は「清純派といえばこの人」久野月葉、「100の傷を持つ乙女」藤木霞、「眠れる森の美女」遠野深雪と3タイプ揃ってます。あー、朝は霞さまのキスで起こされて、昼は月葉さまとイチャイチャして、夜は深雪さまの胸に顔を埋めて眠れたら幸せだろーな。

ちなみにエロゲーではないので18禁シーンは一切ないのですが、かえってそれがそそるそそる。
たまに出てくる水着シーンや入浴シーン(バスタオルきっちり巻いてるけど)だけでもう鼻血が出るかと思いました。憧れの女の子に後ろから体を添えて手裏剣投げを教えるシーンなんていうのもあるのですが、そこで「月葉さまの手って柔らかい……」なんて選択肢を選ぶとSEで心臓がドキドキする音までしちゃうのがよろしい。下手なエロシーンよりいやらしいような気がします。

音声

このゲームはサウンドにすごく力が入っていて、足音や雨音など、ずいぶん凝っている感じです。上に書いた「心臓ドキドキ音」なんかも、その流れで入れたのでしょうね。

声優陣も超豪華です。現代の忍者だの女同士でラブラブだのという設定は一歩間違えたらバカゲー一直線だと思うのですが、きっちりした演技がそれを防いでいます。もちろんコミカルなシーンもたくさんあるのですが、微妙な感情の揺れなど、キメるところはきっちりキメてくれていて、聞いていて楽しかったです。あ、ちなみに全編フルボイスよ。

豪華萌えシーンの数々

そして音声のみならず、グラフィックもすごい。お約束萌えシーンがめちゃめちゃたくさん入ってます。男性プレイヤーを意識したのかも知れませんが、レヅなあたしもたいそう喜びました。

まずコスプレ。それぞれバイトだとか忍務だとかいう理由で、ウエイトレス・バニーガール・巫女などの一枚絵がこれでもかと出てきます。さらに、学園ものの定番として、体育大会の体操服・臨海学校の水着・修学旅行の入浴シーンなどが次から次へと炸裂します。 そして忍者ものという設定を反映してか、時代劇によくある「よいではないか、よいではないか」シーン(一応、ギャグなのですが)まであって、サービス満点です。ちなみに男性キャラクタ自体が存在しないため、どのシーンにも男性は一切絡みません。

ちなみに、単なる萌えというよりもっとラヴいシチュエーションも、これでもかというほど出てきますよ。正直、これだけドキドキさせていただければもうHシーンなんて一個もなくてもいいですあたし。はあはあ。

コスチュームデザインが……

こんなに萌え萌えなゲームなのに大ヒットにならなかったのが不思議なほどですが、その最大の原因はコスチュームデザインにあるとみました。忍装束は「失敗したタツノコプロ」または「ばったもんのセーラームーン」みたいだし、私服に至っては「間違った80年代」風でダサダサなんですよ。衣装だけ直して、「百合」を前面に押し出してPS2で再販してくれないかしら。今ならもっと売れるはず。というかあたしは絶対! 買うぞ。

システムの難点

難易度は低いものの、システム自体はあまりよくありません。1人攻略するのに7時間もの単純作業が必要というのは正直言ってキツいです。また、忍務(ミニゲーム)も簡単すぎて飽きるので、全体的にゲーム性はいまひとつだと思います。もっともこの作品をゲーム性目当てで買う人なんて
誰ひとりとしていないでしょうから、これはこれでいいのかもしれませんが。

まとめ

コンシューマゲームでここまでやったという偉業は称えられてしかるべきだと思います。

  • 女の子同士の淡い恋や憧れが見たい人
  • 女同士のラブラブエンディングが見たい人
  • モロ見えのHより、初々しいドキドキ感の方がツボな人
  • レズゲー・百合ゲーはやりたいが18禁エロゲには抵抗がある人

は、是非是非プレイしてみてください。萌え過ぎてTVの前で悶死しないように。