石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

PCゲーム『リトル・ウイッチ・レネット スワンの涙ラプソディー』(工画堂スタジオ)レビュー

リトル・ウィッチ パルフェ コンプリートパック

リトル・ウィッチ パルフェ コンプリートパック

熱い恋心があふれまくりのお店経営アドベンチャー

熱いし面白いしで、レズゲー好きならデフォルトで絶対押さえておくべきゲーム。前作リトル・ウイッチ・パルフェ』(以下LWPと表記)と通してプレイすることが望ましいのですが、どちらか一本に絞るならこの『リトル・ウイッチ・レネット』(以下LWRと表記)の方をおすすめします。

(後日付記:2005年にLWPとLWRが両方収録された『リトル・ウイッチ・パルフェ コンプリートパック』が発売されました。これを買っとくのが一番コストパフォーマンスがいいと思います)

前作からの改良点

システムがサクサクに

前作の最大の難点だったダルいシステムが、かなり改良されています。ゲーム期間は1年から半年へと短縮され、魔法の習得は学校の授業を受けることである程度システマティックに行えるようになりました。イベントやエンディングにもそれぞれタイトルがつき、何をどこまでやったかがわかりやすくなっています。

レネットの恋心もパワーアップ

そして前作よりはるかに強力なのが、レネットの熱い恋心。ゲームの取説からして、眠るパルフェにキスするレネットの絵が入ってるというレズゲー宣言済み物件なので、その内容はおして知るべし。オープニングの歌詞までも、レネットのパルフェに対する思いの吐露にしか思えません。

このゲームはLWPの各イベントをレネット視点で体験することができるのが売りなのですが、もう、どのイベントでもいじらしくて、どうしようもなく可愛いですこの女。LWPの序盤では「タカビーなライバル」でしかなかったレネットが実はこんな切ない恋心を抱いていたのだと思うと、こっちの胸までキュンとします。しかも一般ゲーだというのにキスあり抱擁ありセックスありという大盤振る舞い。これはもう買うしか!

前作との共通点

前作と共通の絵もたくさんあるのですが、これは手抜きというよりファンサービスですね。だって、プレイしてて素直にうれしかったもん。大木の丘でブローチを見つめるレネットにはほろりとしたし、懐かしい魔法大会も、アイドルコンテストも、視点が変わるだけでこうも新鮮だなんて。

絵だけでなく、音楽もLWPと共通のものが多くて楽しいです。黒猫魔法店に入ったとたん、あのいつものBGMが流れてほっとしたりもします。いいわね、こういの。

逡巡のあるレズゲー

レズゲーって2種類あると思うんですよ。女の子が女の子を好きになるのは別におかしなことでもなんでもないというタイプの作品と、「女の子同士なのに……変に思われたらどうしよう……」という逡巡がある作品と。

『あやかし忍伝 くの一番』が前者だとすれば、LWPやLWRは後者の突端に位置していると言えます。どちらがいいとか悪いとかいう意味ではなく、突き抜けたパワーで女の子ラヴを貫きたい人は前者を、思春期の胸の痛みやとまどいをしみじみ味わいたい人は後者をプレイすればいいと思うんですが、それにしてもこのLWRは実によくできています。レネットがパルフェを好きになった理由も、想いを伝えられない臆病さや苛立ちも、嫌味なく丁寧に書かれています。

思い悩むレネットの台詞に涙しないレズビアンが、果たしているだろうか。

涙まで流さないにしても、ちょっと遠くを見つめてしまったり、ふっと苦笑いをしたりしちゃわない? 設定ではレネットは14歳。今どんなにイケイケヤリヤリのレヅでも、この年代の頃は、こんな風なことを考えて胸を痛めたことがあると思うのよ。そういう意味で、レヅの心のツボを押しまくるにくいシナリオだと思いました。

参りました

レネットはこの後勇気を出して告白して、それからまたいろいろ事件があったりするんだけど、最終的にはパルフェと幸せになります。恋人同士になって体の関係もできるところまできっちり描いてあるし(モロに絵で見せることはしないけど、前後関係でそれとわかるようになってます。あたしは鼻血ジェット噴射で失血死するかと思ったわ)、女同士では子どもが作れないという話になって、真剣に

「どうしても子供が欲しかったら養子を貰えばいい。…この世界には親を失ってしまった小さな子供が沢山いるよ…。2人の気持ちが本当に本物なら、
どんなことがあったって、ちゃんとやっていけるはずだよ!」

なんてことまで話し合っちゃうのよ。くどいようだけど、これ、一般ゲーなのよ? それでここまでやってくれるとは。

参りました。

ひとりのレズビアンとして、このゲームを作ってくださった全ての方に敬意を表します。