石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

映画『ショー・ミー・ラヴ』感想

ショー・ミー・ラヴ [DVD]

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頭の悪いティーンエイジャーの悶々ストーリー

この映画、『ショー・ミー・ラヴ』なんて甘ったるいタイトルより、原題の"Fucking Amal"の方が合ってるんじゃないの?  要するに、田舎のAmalという町で、頭が悪いティーンエイジ・ガールがふたり、周囲に迷惑をかけながら悶々とする話なんですから。ラストの爽快感だけはあるけど、発情したバカガキが嫌いな人はそこまでたどりつく前にDVD止めちゃうかもです。

個人的には、この映画はあんまり好きになれませんでした。レズビアン物だからどうの、思春期のやりきれなさがこうのという以前に、メインキャラの女の子ふたりがバカで性格悪いのがいただけないわ。この作品を見て「共感できた」っていう方は、よっぽど心が広いのでは。

アグネスとエリンについて

ではここで、アグネスとエリンがどれだけ「バカで性格悪い」のか検証してみましょう。

まずアグネス。誕生パーティーを開くのが嫌なら嫌で、最初から断れよ。「招待状を配る」なんてウソついて当日まで澄ましてるんじゃねーや。善意で企画してくれた両親が可哀想だろ!

しかも、誰も呼ばなかったのならまだしも、障害者の友達をひとりだけ呼んでプレゼントまで出させてから、

「悪いけど嫌なの。こんなウソっぽいパーティーはうんざり」

「あんたと私は友達じゃない。仕方なく話してるだけ」

「ダサいCD聴いて車椅子に乗ってる子はキライ」

とか言いたい放題言いやがって、何様よアンタ。

そんでもってその後、自室のベッドで泣き崩れて、

「私なんかみんなの嫌われ者!」

そりゃ、嫌われるわよ。こんなことしてりゃ。しかも、慰めようとするパパを相手に

「ママは私のことを嫌ってるわ」

今度は不幸ぶりっ子ですか。「そんなことない」と言ってもらおうとしてるのが見え見えでうっとうしいよ、まったく。

一方エリンはどうかというと、典型的な「都会に憧れる田舎モノ」。たいした容姿でもないわりに、都会に出てミス・スウェーデンになるだの映画スターになるだのとドリーム入りまくりなところがイタタタタ。日本にいたら電光石火でスカウト商法に騙されて田畑全部売り払うはめになること必定の低脳ぶりです。

こいつは姉イェシカと連れ立ってアグネスの誕生パーティーに行くのですが、ふたりの目当ては酒とバカ騒ぎだけ。ワインをガブ飲みしながら勝手にアグネスの部屋をあさり、本人不在のところで「彼女レズよ」「げっ」「アグネスとキスできたら20クローネ」なんて話が進みます。で、エリンは本当にそれで彼女にキスしちゃうの。好きでもなんでもないのに、いやらしげに口説くふりまでして。

失礼だろそれって!  いくらアグネスが弱い者にしか強く出られない卑怯者の構ってちゃんだからって!

2人そろうとバカがブースト

上記のキスがきっかけでアグネスはちょっとつらいことになるのですが、それでどうするかと思ったらいきなり安全カミソリでリストカット。おい、自殺したけりゃもっとまともな方法でやれよ。ああもう、ガキの「悲劇の主人公」気取りって本当に鬱陶しいわ。

エリンはというと、一応罪悪感を感じたらしく謝りに来るのね。それはいいんだけど、ふたりで田舎の悪口を言ってるうちに突然ヒッチハイクでストックホルムへ行こうと言い出し、 さらに実行に移しちゃうあたりがそろって大バカ。どうして思春期のバカにはブースターがついているのでしょうか。

しかもこいつら、乗せてもらった車の中で、何を思ったかチューし始めて運転手さんにつまみ出されるし。ここのBGMが"I Want to Know What Love Is"なのは何かのギャグですか?

陳腐な展開、退屈なラスト

その後はお決まりの「思春期の揺れる乙女心」パターンで一方が男と寝てみたり相手を無視してみたりという陳腐な展開がだらだらと続き、 ラストだけはとりあえずめでたしめでたしという形を取って終わります。でもなあ、これはハッピーエンドなのかと問われたら、「さあ」としか言えないな、あたしは。

だってアグネスもエリンも、頭悪いだけあって、相手のことをろくに知りもせずにのぼせ上がってるだけでしょ、これ。アグネスは親しくもない相手に妄想おっかぶせて盛り上がってただけだし、エリンはたまたまキスした相手と一緒に田舎の悪口言って気分が高揚してるだけだよ。どう見ても長続きしそうもないわ、この二人。「いずれどっちかが適当な男と結婚して、ただの田舎のおばちゃんになる」っていうのに100円賭けてもいい。これを「切ない」ととるか「退屈」ととるかでこの映画の評は180度変わってくるのでしょう。あたしは後者でしたが。

結論

結局のところ、これはレズビアン映画というより思春期の悶々映画なのであって、主役ふたりのどちらかを男の子に設定し直しても作れる話だと思います。なので、女同士の愛が見たい方にはあんまりおすすめできません。つーかコレ、本国スウェーデンで『タイタニック』を抜いて観客動員数ナンバーワンになったっていうのがどうにも解せないわ。そんなに面白いか、この映画?