石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

PCゲーム『『Libido7 DVD』(LIBIDO)レビュー

Libido 7 DVDLibido 7 DVD

LIBIDO 2003-02-28
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頭の悪いAVチックなスカトロゲー

メーカーサイトではこんな風↓に紹介されている作品なのですが。

1994年6月に発売され業界に波紋を呼んだ問題作。元祖オカズウェア「Libido7」がDVDになって復活!
奈留ちゃん、綾乃ちゃん、愛美さん、真子ちゃん、梨花ちゃん、ゆきさん、エミちゃん、千鶴ちゃん達、仲良し8人組みにまた会える!
迫力のフルボイスに酔え!

酔えねえよ! と、モニタに向かって叫んでしまったわ今。

この作品をひとことで評すると「出来の悪いAV。しかもスカトロ限定」であって、レズゲーとはとても呼べない代物でした。厳密に言うとこれはゲームではなく『オカズウェア』というジャンルなのだそうですが、この際そんなことはどうでもいいです。だれかこの傷心を癒してくれ。

実は、(自分にとっては)地雷だとわかっていて敢えて購入したんですよこれ。レビューサイトをいくつか見て、心の準備はできてたつもりだったんです。それでもやっぱり、これはとんでもなかった。

スカ地雷発動

このゲームはスカトロ満載なことで有名です。それを、女の子同士の絡みがあるなら我慢しようと一瞬でも思ったあたしがバカでした。これはもう、スカ属性がない人に耐えられるようなぬるい代物ではありません。最初から最後まで黄金と黄金水の乱舞な上、経血を舐めるシーンまであって、いくら女同士だからってそれはないだろー、と暗澹たる気持ちになりました。お好きな方にはたまらない演出なのかもしれませんが、属性がない人は決して足を踏み入れてはなりません。

つーか奈留。固さとか形状とかの解説はやめて、お願い。顔面に放尿されて「目にしみる~」とかのリアルな実況中継もやめて、お願い。

ストーリー皆無

ストーリーが存在せず、ひたすらまぐわってるだけってのもイタかったです。一応設定では、「友達とHゲームを作ることになった奈留。でも、資料がないと絵がうまく描けない。じゃ、友達に協力してもらっちゃえ! そして、恥ずかしいポーズのモデルになってもらううちに、女の子同士で気持ちいいことをしてしまうわたしたち」みたいなおおまかな筋立てはあるんだけど、本編を見る限りシナリオのかけらもないです。ていうかキャラクターが全員、発想が宇宙人。

例:
自室で千鶴とヤッてる主人公。そこへ姉が帰ってきて目撃される。なのに誰ひとり驚きも照れもせず、平然と日常会話を展開。さらに姉が唐突にペニバンを取り出し、3P開始。

この人たちの頭の中はいったいどうなっているのか。

謎の台詞多発

台詞もヘンなのが多くて、楽しめませんでした。 一言で言うと、「男性の発想を女の子の口からしゃべっている」って場面が多すぎで、ものすごく違和感があるんですよ、これが。たとえば、このあたりがそうです。

(セックス中に放尿した女の子に向かって、もうひとりの女の子が)「ここがいけないんだよ、ここが。綾乃ちゃん、すぐ止めないんだもん」

女の子は体の構造上、すぐ止められないようになっているのですが。男性ならともかく、女性キャラがそれを知らないのは変すぎ。

(処女の女の子に向かって)「わたしが綾乃のここに穴を開けちゃっていいの?」

じゃ、これまで生理のときはどうなってたんですかその穴。「ヤるまでは穴が開いてない」とか「初体験で穴を開ける」とかいうのは、どう考えても男の発想(妄想と言った方が近いが)でしょう。

これで声優の演技が良ければもう少しマシだったのかも知れませんが、どいつもこいつもキンキンのアニメ声で、抑揚も単調。田舎の学校の学芸会、または役柄を演じきれてない低脳イメクラ嬢のようでした。キャラで言うと綾乃が特にひどく、「IQが小数点以下しかないババアのぶりっ子」としか思えないしゃべり方でした。

同性「愛」ではない

ぜんぜん同性愛ものじゃないのも痛かった。セックスはあっても愛はないんだもん。

キャラクターは8人全部が女の子だし、セックスも女同士のものしか出てこないのですが、これは「同性間セックス」であって「同性愛」じゃないとあたしは思いました。一応「愛してる」と連呼しながらヤッてたりするんだけど、その行為はあくまで「オナニーのお手伝い」扱いされてるのよほとんど。このあたり、すごくノンケっぽいです。

ちなみに肝心のHシーンはどんなものかと言うと、お道具や食品のオンパレードで、とにかく穴に棒を突っ込まないと気がすまないワンパターン展開。69だの貝合わせだのもくどいほど出てきて、「頭の悪いノンケが妄想するところのレズビアンセックス見本帳」のようでした。はっきり言ってみんな下手そうで、レズビアンの鑑賞に耐えうるものではないですね。お前ら『処女宮』のユキや秋穂のハイテクニックを見習えと言いたくなりました。

不便なシステム

システム的には、ボイスとテキストが同時に楽しめないのが非常に使いづらかったです。ボイスモードにしてるとつまらないシーンでもスキップしにくいし、テキストモードだとえんえん読むだけなので「いつの時代のゲームだ」という虚しい気分になります。テキストモードのメッセージウインドウに、能天気なロリ絵のキャラが表示されるのもアホっぽすぎて萎え。あと、ウインドウ右下にピンク色のPOP体で「くりくり」だの「ぺろん」だのと間抜けな効果音(?)を出すのもやめてほしいと思いました。

謎の卑語

「おまんちょ」連呼は方言なんだかギャグで言ってんだかわからなくて引いてしまうので、切実にやめて欲しかったです。男性ユーザにも「『おまんちょ』はやめれ」って人が多いみたいなんだけど、メーカーはいったい何を考えてたんでしょうか。素直に「ちょ」を「こ」にして軽くピー音かければいいじゃん。

結論

スカ属性のない人にはまったく向かないし、ストーリーやキャラ立てもしっちゃかめっちゃかだし、女同士のセックスも「下手そう」の一言。結局この作品は、

  1. スカ属性のある人が、
  2. ボイスモードにした上でハンズフリー(自動送り)に設定して音声をミュートし、
  3. 適当なストーリーを想像しながらCGだけ楽しむ

という状況でもっとも真価を発揮するのではないでしょうか。ここまで突き抜けた怪作ぶりにはある種の畏敬の念を感じますが、万人におすすめできる作品ではないことは確か。