石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

映画『新・百合族3 ビリティスはいくつの失恋を歌う?』感想

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そろそろネタ切れか

シリーズ3作目とあって百合百合したシチュエーションのネタが尽きたのか、焼き直しっぽいネタや陳腐なシーンが目立ちました。オチも弱いし、綾子先生役の女優が交代してしまったのも痛いです。3作中で最もエロ度は濃いのですが、前2作にあったような切なさは姿を消し、「話のしょうもなさをエロでごまかそうとした」という風にしか見えません。一部のキャラには「なんちゃってレズ」臭も漂ってますし、シリーズ最終作としては、残念な出来でした。

ワンパターンすぎ

この作品内では、相変わらずさとみは綾子先生と同居しています。それはいいんだけど、転校生の下宿人(当然、女子高生)が現れてどうこうというのは『新・百合族2 もう森へなんか行かない』と同じだし、さとみが学校の女の子に憧れるというのは『新・百合族 先生、キスしたことありますか?』と同じなので、ワンパターンすぎてイライラしてきます。寅さんや水戸黄門じゃあるまいし、もう少しひねってほしかったです。
(いっそ寅さんみたいに、ワンパターンを貫いて数十本の百合シリーズを続けてくれれば一種の様式美として楽しめたかもしれませんが)

真弓倫子カムバック希望

冒頭で書いたとおり、綾子先生役が真弓倫子から大竹一重に変わっているのですが、これが下手で下手で、ミスキャストだとしか思えません。台詞はほとんど棒読みだし、動きや表情も凡庸なんだよね。もっと上手い女優を探すか、設定そのものを変えて違う話の枠組みを考えればよかったのに。こんな綾子先生を見せられるぐらいなら、全然別の話にしてくれた方が良かったわよ。

あざといエロ描写

やたらと裸で絡んだり乳首を舐めたりと大サービスですが、ほとんどのシーンが唐突すぎてあざとい感じしかしません。夢オチや妄想オチばかりなのも「またですか」って感じでサゲ。

この作品では唇だの体だのに真っ赤なルージュを塗り合うシーンってのが多用されてるんだけど、あんなド真っ赤っ赤な色を好むのはオヤジか場末のホステスだけだと思います。しかも、「ことさらに厚く塗った口紅を、まず乱暴に拭って(ナレーションより)」拭き落とすシーンでは、クレンジングも使わず素手でゴシゴシするだけなので、「拭き落とす」というより「塗り広げる」みたいになっちゃって、そのキャラの顔はオバQ状態になってます。オバQに迫られても困ると思うんですけど。

「切なさ」はどこへ行った

1も2も切なさ重視の好ストーリーだったのに、3はダメダメです。片想い中の人はたくさん出てくるのですが、どの人もあんまりキャラが立ってなくて薄っぺらい感じ。さとみが涼子に告白するシーンなんかも、悪くはないんだけど新鮮味に欠けてました。このシーン、キメ台詞がどこかで聞いたことあるなあ、と思ったら、吉田秋生の『ラヴァーズ・キス』(漫画の方ね)に似てるんだわ。同じような台詞なのに『ラヴァーズ・キス』のそれは値千金、『新・百合族3』の方はゴミみたいに響くのは、物語の完成度の差なんでしょうねやっぱり。

なんちゃってレズ臭が……

登場人物のうちひとりに激しく「なんちゃってレズ臭」が漂ってます。「女なのに女に恋してる自分」に酔いしれてる感じがすごーくウザいので、警戒しながら見ていたところ、やっぱりただのなんちゃってだったというオチがついてました。百合映画にこんなバカ女出すなよーと思って激しく萎えました。いや別に出してもいいんだけど、もう少し効果的な使い方ってもんがあるでしょうが。

まとめ

露出度の高さ以外にはあまり取り柄の感じられない作品でした。裸と絡みさえ見られればあとはどうでもいい、という人なら楽しめるのかもしれませんが、それなら素直にAVでも買うか借りるかした方がいいと思います。