石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

『落花流水(1)』(真田一輝、芳文社)感想

落花流水 (1) (まんがタイムKRコミックス)

落花流水 (1) (まんがタイムKRコミックス)

高校弓道部が舞台の爆笑百合4コマ

おっもしれー! 4コマというジャンルにこんなに面白い百合漫画があるとは、盲点だったわっ!

『落花流水』は、女子高弓道部を舞台とした百合ギャグ漫画です。主に新入部員「秋穂」(あきほ)の、憧れの先輩「水夏」(みなつ)への燃えさかる愛(※一方的な)を中心に話が進みます。百合描写だけでも充分面白いのですが、ただの百合萌えだけに終わらず、爆笑学園4コマとしてもめちゃくちゃよくできているところに唸りました。

百合要素について

まず、秋穂の水夏への想いに欲望がしっかり入っているところがすごくよかったです。よくある「百合はキヨラカな世界じゃなくちゃ!」みたいな抑圧的純潔路線じゃなくて、先輩の胸が見たいとかキスしたいとか雨で濡れて制服が透けてたら思わず携帯出して写真撮ろうとしちゃうとか、そういう邪念がばんばんギャグにされているところが楽しすぎます。とは言え、秋穂は実はすごくシャイな人でもあり、その「欲望とシャイネスのせめぎ合い」の描写が『落花流水』のいちばん面白いところなんですけどね。また、秋穂の想いに気づいているキャラたちが、それを全然特別視せず、マイペースに淡々と接しているところもよかったです。

キャラクタ及び弓道描写について

百合要素のみならず、エッジの立ったキャラクタたちときちんとした弓道描写もナイス。まずメインキャラをリストにしてみると、こんな感じです。

  • 葉山秋穂:主人公。憧れの水夏に興奮するあまり、鼻血を噴いたり狼(犬?)化したりする。
  • 帆風水夏:弓道部部長。並の男よりもてる素敵女子だが、犬猫など可愛いものに異様に弱い。秋穂の想いには気づいていない。
  • 草場春河:超マイペースな弓道部部員。なぜか動いている的しか当たらないという特殊な腕前。
  • 霜月真冬:大人なのに7歳の幼女にしか見えない弓道部顧問。マッドサイエンティストの気あり。力が無さすぎて4kgの弓しか引けない(※学生女子の適正値=10kg~15kg)。

この4人のテンポの良いかけあいが、お話全体をキレのある学園コメディとして成立させていると思います。学校のみならず、部活帰りの銭湯だのレンタルビデオ屋だの、幅広い舞台で繰り広げられるさまざまな会話が笑えますよ。

なお、弓道描写については、p11-12の胸当ての話(と、秋穂の興奮っぷり)にとどめをさします。『落花流水』を読む人は、何はさておきまずあれを読むべき。「弓道知識に裏打ちされた爆裂百合ギャグ」という新ジャンルのとりこになること間違いなしです。

まとめ

「百合」で「弓道」で「学園コメディ」という3要素をみごとに合体させた傑作。おすすめです!