石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『からくりアンモラル』(森奈津子、早川書房)感想

からくりアンモラル (SFシリーズ Jコレクション)

からくりアンモラル (SFシリーズ Jコレクション)

大好きだわ、この一冊!

濃密な性愛描写と、静かな哀しみやおかしみの漂うエピソードにあふれたSF短編集。大好きだわ、この一冊!

性愛描写について

まず性愛描写についてですが、「女の子同士のエロティックな絡みを見たい人は、エロマンガばっかり読んでないでこれを読め!!」と力説したいですねあたしは。この甘くて熱くてアンモラルな(注:アンモラルは『道徳と関係ない/道徳を超えた』の意味。『不道徳な』を意味する『インモラル』とは違います。念のため)性表現の数々を味わわないなんて、もったいなさすぎます。

もちろん、さすが森奈津子の小説だけあって、官能描写は単純な女の子同士のものだけにはとどまりません。少女とロボット(「からくりアンモラル」)、少女と少年と少女(「罪と罰、そして」)、吸血鬼と人間の男女(「愛玩少年」)、自分と自分(「あたしを愛したあたしたち」)、など、さまざまな形で展開されていて、どれも超エロティックで良かったです。個人的には、「からくりアンモラル」や「あたしを愛したあたしたち」に見られる「少女の性の目覚め」というテーマにすごくドキドキしました。

哀しみとおかしみについて

「いなくなった猫の話」は人間と猫とのハイブリッドが登場する話。「猫を飼うってこういうことよね」と猫飼いのあたしはしんみりと涙ぐみました。2度目に読んで、主人公の女性がハイブリッドの名前にこめた祈りが一種の伏線になっていたことに気づき、また涙腺をゆるまされました。たまらんです。

「ナルキッソスの娘」は、しょうもないジゴロの父を持った少女の話。この父「ヒロシ」のキャラクタがとてもいいんですよ。「あの展開を見せといて、クライマックスでアレかい!」と、わたくしは吹き出しました。ぬいぐるみの「シロ」のシーンなんてとても悲しいのに、最後の最後でああくるとは。やられたー。

まとめ

エロティックで詩的でかつSF、という美味しい一冊です。読んでよかった。すすめてくださったビューワー様がた、ありがとうございました。