石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

『さくらの境(1〜3)』(竹本泉、メディアファクトリー)感想

さくらの境 1巻(MFコミックス)

さくらの境 1巻(MFコミックス)

さくらの境 2巻(MFコミックス)

さくらの境 2巻(MFコミックス)

さくらの境 3巻(MFコミックス)

さくらの境 3巻(MFコミックス)

スウィートな百合ちゅー満載まんが(でもちょっとヘテロノーマティブ)

わはははははこんなにスウィートな百合ちゅー満載のまんがを見逃していたとは迂闊! 迂闊なり、みやきち! ……と叫びそうになってしまったほど、主人公「佐々さくら」とその同居人「上桜二子」の2人がしょっちゅうキスしまくる漫画です。またそのキスがことごとく柔らかそうで甘そうで可愛いの。眼福眼福。見てると幸せ。

可愛いと言えば、登場人物みんな可愛いんですけどね。さくらの超マイペースでのんびり屋の叔母・多摩子さんとか、二子のツインテールの姉・一子とか、さくらの世話している10匹の猫たちとか、みんなみんな見ていてぽわーんとしてしまうぐらいにラブリーなんですよ。「さあ萌えなさい」的なあざとい可愛らしさじゃなくて、脱力系のほんわかした可愛らしさなのが最高。特に猫描写は必見で、猫の名前「笑い仮面」の由来がわかるエピソードなんて、見ててニコニコしてしまいました。いるいる、ああいう猫。大好きだよ笑い仮面。

ラブストーリーではありません

とは言え、注意しなくてはならないのは、この漫画は決してラブストーリーではないということ。さくらと二子の間に恋愛感情は存在せず、お話のポイントはあくまで「てきぱきした美少女のはずの二子が、さくらにはぐにゃぐにゃのふにゃふにゃになって甘えまくる」というところにあります。二子の、猫のようにすりすりしたり、手をつないだり、毎晩一緒に寝たり、ちゅーしまくったり、というキュートな甘えっぷりはそりゃもう見てて楽しいんですが、これはあくまで恋愛ではないんですね。そのことは、作者自身が1巻のあとがきで「『百合百合でラブラブ』な話ではない」という趣旨の発言をしているところからもはっきりわかります。

んで、恋愛ものじゃないこと自体はそんなに重要ではないと思うんですよ。恋愛感情があろうとなかろうと、可愛い女の子たちが楽しそうにくっついたりキスしたりしている姿は良いものですからね。ただ、二子とさくら自身が「女の子同士のキスは数のうちに入らない」という大変にヘテヘテな(heteronormativeな、の意)発言をかましている(二子は1巻p104で、さくらは3巻p26で)のはとても残念でした。「これじゃまるで、『女相手の浮気は数のうちに入らない。最後は男のもとに戻ってくるに決まってるから』と自信満々でふんぞり返っているバカノンケ男と同じ発想じゃん」と思ってしまって、作品に対する入れ込み度が軽く2割がたは減りました。これさえなければ満点つけても良かったんだけどなー。

まとめ

恋愛ものではないけれど、可愛い女のコふたりがひたすら仲良くすりすりいちゃいちゃちゅーちゅーしまくる姿にとても和める漫画です。個人的にはメインキャラ2人のヘテヘテ発言にちょっと引きましたが、それでも2人の甘えっぷり/甘やかしっぷりや、作品全体を流れるボーっとした空気はとても好きなので、4巻以降も読むつもりでいます。あと猫! あの猫描写があるだけで、たとえこれが全100巻の「大河ボーっとしたまんが」になっても買い続けると思うわ、あたしは。