石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『電脳娼婦』(森奈津子、徳間書店)感想

電脳娼婦

電脳娼婦

中高年ヘテロ男性向け

エロティックSF短編集なのですが、あたしにはあまり合いませんでした。理由はふたつ。

  1. 「この世よりエロティック」「シェヘラザードの首」など、尻切れトンボな感が否めない。
  2. 同性愛者は登場するが、全体的に、女同士の絡みより男女セックスの描写の方に力点が置かれている。

とくに2が大きいです。しかし、これについては作者さんを責めるのは酷でしょう。なぜなら、この本に収められている6編のうち4編は<問題小説>(こういう雑誌です)から「官能小説を」との依頼で書かれたものであり、

同誌の読者層である中高年男性を性的に興奮させ、可能であれば彼らを無為に射精させることを目標として書かれた作品なのであります。

と、森さんご本人もあとがきで述べておられるからです。そういうわけならば、この本がちんこ描写や射精描写多めになっているのも無理もないこと。

個人的には森奈津子さんの小説にはやっぱり自分(=レズビアン)が共感できる要素を求めてしまうので、やっぱり物足りない感じでした。男女エロでも、同作者さんの『からくりアンモラル』のようなタイプの本であれば十分楽しめるのですが、『電脳娼婦』はあたし個人のストライクゾーンからは外れている感じ。せめてもう少しお話が尻切れトンボでないとか、笑いがあるとか、女女セックスが痛そうなだけでなく気持ちよさそうだったりとかしたらよかったんだけどなー。

ただし、「あとがき」は必見

これについては別項立てて書きます。首を縦にぶんぶん振って同意したくなる、痛快な文章でした。これを読むために、あたしはこの本を買ったのかもしれません。

(追記:「別項」を書きました。→「こんなんじゃ、俺の百合チンポは勃たねえ!」あるいは、 ジャンルの基準を主観で決め付けるのはもうやめようよという話