石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『チョコレート・メランコリー(全3巻)』(島本晴海、コスミックインターナショナル)感想

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女のコ同士の愛情が力一杯描き込まれたお話

18禁エロ漫画。主人公チョコに主体性や存在感があまり無い一方で、魅力的な脇役たちがお話を牽引しまくっていくという独特なノリが面白かったです。18禁だけあって男女エロ要素や陵辱シーンも出てくるため、合わない人には合わないかもしれませんが、それだけで読まないなんてもったいない! と思うほど、♀×♀の愛情が力一杯描き込まれたお話でした。

めぐむイチオシ

先述のように男女の陵辱シーンも含まれるお話なのですが、そこで「マユゲメガネ」こと野崎めぐむ(♀)にあえて極上の笑顔(1巻p115)で「チョコぉ! 心配するなって」と言い切らせる場面に感動しました。ネタバレ防止のため詳しくは言及しませんが、行為の上では男女エロを描いていても、気持ちの上では女のコ同士の深くて強い愛を描ききった名シーンだと思います。こんなアプローチでもレズビアンものは描けるものなんだなあ。

ちなみにめぐむはその他のシーンでも随所でチョコへの愛を炸裂させていて、泣けます。報われない恋なのに、それでも親友として気丈にチョコの恋(チョコの想い人はめぐむではありません)を応援し続けるところには、PCゲーム『サフィズムの舷窓~an epic~』の鼎さんをちょっと連想したりしました。あと、「つらいのにチョコのために笑ってみせる」というシチュエーションでの表情がとにかくいいんですよ、めぐむは。キャラの中ではイチオシです。

難点

この作品の難点をただひとつ挙げるとしたら、めぐむの弟「保」のキャラが2巻だけ変わってしまっていることでしょうか。1巻ではただのシスコン(というか近親愛だけど)の人なのに、2巻だけヒールになってしまってるんですよね彼は。ひょっとしたら、このへんが、作者さんがあとがきで書いておられる「大人の事情」というやつなのかもしれません。エロ漫画である以上、男女エロシーンを入れないと納得しない読者も多いでしょうし、ダークな展開を望む人もいるでしょうしね。ただ、3巻になると別のヒール「マーク黒柳」が登場し、保はまたいい奴に戻るので、それなら2巻の時点でも誰か新キャラ出してそいつに悪役をやらせてくれればよかったのに、と思いました。

まとめ

男女エロ要素も入ってますが、基本的には最初から最後まで♀×♀漫画ですし(女女エロシーンもかなり多いです)、めぐむのチョコへの想いがとにかく圧巻です。めぐむラブ。