- 作者: 蔵王大志,影木栄貴
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2007/04/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あまり合いませんでした。
あたしにはあまり合いませんでした。以下、理由。
- 表紙からしてカメラ目線。(参考:http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20060328#1143525238)
- 「男性にレイプされて男性恐怖症になりました」というキャラが二人も。根本的にレズビアニズムというものがわかってない模様。
- ボク女のレズビアンというのがどうにも痛い。一人称をボクにするのなら、PCゲーム『サフィズムの舷窓~an epic~』の杏里・アンリエットぐらいにしっかりとキャラを立てないと、ただの思春期のなりきりにしか見えないと思います。
- 「男性はごつごつしていて女のコを傷つける存在」「男は性欲に振り回されて女のコの気持ちをかえりみない」みたいな決め付け感が漂っているのがうっとうしい。つーか男性全般に大してめちゃくちゃ失礼よ。
- 女の性を美化しすぎ。たとえばp52の夏姫の台詞「女の性は…受け身にできてるけど…そのおかげでお互いを傷つけずにすむ…癒しの性だよね」なんて、頭のゆるいクソノンケの妄想だとしか思えません。一回爪が長いバリタチにむりやりヤられてみろっつーんだ、馬鹿。この台詞の問題点については、以下に詳しく述べます。
p52の夏姫の台詞(と、それを受けての冬華の台詞)がなぜ問題なのか
夏姫「女の性は…受け身にできてるけど…そのおかげでお互いを傷つけずにすむ…癒しの性だよね」
(引用者中略)
冬華「そうか…たとえ襲いかかってきても夏姫は男とはちがうし…私を傷つけたりはしないんだ…」
この作品のキャラ「夏姫」と「冬華」はこんな寝言を言っていますが、実際には女同士のレイプだってあるんですよ世の中には。こういった本まで出ているくらいです。「傷つけない」どころか、膣の中が爪で切り裂かれて流血沙汰になったりもしちゃうんですよ。レズビアンカップルのDVだって当然あります。たとえばこのページによると、同性カップル間のDVの割合は、異性愛者女性がDV被害に遭う割合とほとんど同じだそうです。それでも同性愛者だと周囲にセクシュアリティを知られてしまうことを恐れてレイプ/DV被害を通報できなかったり、あるいは通報したところで異性間のレイプ/DV被害者ほどの援助や支援はしてもらえなかったりする(法整備が行き届いていない上、警察や司法当局などの無理解もあるから)という、深刻な問題があるんです。いくら娯楽作品だからと言って、のんきに「女の性はお互いを傷つけずにすむ(要約)」なんてお花畑を喧伝するのは、たくさんの女性が実際に苦しんでいる問題を無視あるいは不可視化する行為であり、ありていに言ってすっげー迷惑です。
その他
「真性レズ」(この言い回しもどうかと思いますが)とされている夏姫の行動が、同意も得ずにいきなり人にキスしたり胸を揉みしだいたり無理やりパンツを脱がそうとしたりトイレを覗いたりと、単なる性暴力のオンパレードでしかないところがすごく嫌です。ギャグになってればまだしも、単に強引なだけでひとつも笑えませんよこれ。レズビアンってそういう人種だと思われてるんですかそーですか(棒読み)。
つーか、これだけ相手の意思を踏みにじって性暴力をふるってるキャラが、前述のように「女の性は(中略)お互いを傷つけずにすむ」なんて寝言を言い出すあたりが笑止千万。ちんこが生えてなきゃそれだけで何やっても「傷つけずにすむ」んですか、おめでてーなーノンケ(の一部)の発想は。
まとめ
「女のコ同士の愛を描いた一冊」ではなくて「頭になんか湧いてるクソノンケの妄想集」だとしか、あたしには思えませんでした。同性が好きな人も同じ人間だという発想がなく、「女同士って、なんか異性愛とは根本的に違うミラクルな世界に違いないわ☆キャハ☆」と思い込める人なら、また違った感想になるのかもしれませんが。