石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『みこれっと』(織倉まこと、久保書店)感想

みこれっと (ワールドコミックススペシャル)みこれっと (ワールドコミックススペシャル)
織倉 まこと

久保書店 2006-10
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漫画というよりエロイラスト集

18禁のレズビアン漫画です。内容がないよう、という古典的オヤジギャグしか浮かばないほど、ヤマもオチもストーリーもなんにもない作品でした。一応、「巫女である主人公『みこと』が、みことを守る鬼(見た目は人間の女性)の『綾女』に、記憶を取り戻すためという名目でセックスを要求される」という設定があるにはあるのですが、実質的にはこの2人は毎回毎回セックス以外の何も(ほんっっとうに何も!)せず、最後まで何のドラマも起こりません。「この作品がもし全ページフルカラーだったら、画面の90パーセント以上が肌色だったことであろう」という言い方でこの特異な世界が伝わるでしょうか?

たとえストーリーラインが弱くても、キャラクタの強烈な個性なりシチュエーションのおかしさなりで味付けされていれば、『TOKYO POP』(井上眞改、司書房)のようなタイプの作品になり得たことでしょう。が、『みこれっと』には、そのような味付けも一切存在しません。まったくキャラの立っていない(それどころか、何を考えているのかすらよくわからない)「みこと」と「綾女」がひたすらまぐわって喘ぎ続けるだけであって、ここまで来るとご都合主義をも超越して謎の異次元空間に到達しているお話だと思いました。

ちなみにコマの割り方もおそろしく単調で、1ページに平均2~3コマの大ゴマがどーんと存在するのみ。それらのコマの中身は、ほぼ「顔のアップ」「乳のアップ」「局所のアップ」「絡み合う全身像」だけ。さらに、ひとつひとつの絵も漫画というよりイラスト的で、それだけで完結しまっているというか、他のコマへのつながりをまったく感じさせないタイプのものです。つまり、『みこれっと』はそもそも漫画の文法で描かれてすらおらず、「オカズ用のエロイラストを切り貼りして、一見漫画ふうに並べたもの」だと解釈するのが妥当なのではないかとあたしは思いました。

まとめ

ストーリーが存在せず、キャラも立っておらず、単調なコマ割でセックスシーンのみが延々描写される、という、ある意味前衛的とも言えるほどに漫画の文法を逸脱しまくった作品だと思います。作者さんの絵柄が好みに合っていて、イラストとしてだけ楽しめればいいと割り切れる人なら買いかもしれません。が、漫画らしい漫画を読んで女性同士の愛やお話の起伏を楽しみたい人には向かないと思います。あたしは後者なので、まったく合いませんでした。残念。