石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『MONOクロ』(糸杉柾宏、秋田書店)感想

Monoクロ (チャンピオンREDコミックス)

Monoクロ (チャンピオンREDコミックス)

非18禁のエロティック青春ストーリー

基本的にはヘテロ物のエロコメなのですが、レズビアンのサブキャラが登場する上、「ホントに18禁じゃないんですかこれ!?」と思わず表紙を確認してしまったほど濃厚な♀♀エロシーンも出てきます。ヘテロ要素もレズビアン要素も面白く、よい買い物でした。

あらすじなど

裏表紙からあらすじを抜粋すると、こんな感じです。

日本一目立たない高校生・日下部九朗。だがある日、彼は「モノに乗り移る」不思議な能力を身につける!! 九朗は、この能力を使って憧れの天野瞳さんにお近づきになることができるか!?

つまりこれは、よくある「透明人間になれたら、女湯を覗けるのになあ」という妄想をバージョンアップした感じの漫画なんですね。一歩間違えばだだの底の浅いエロ漫画で終わってしまいそうな設定ですが、最後の最後で日本古来の「名前」の持つ力(言霊の力、と言い換えてもいいかも)を巧みに使って話を収束させてある点が面白かったです。

レズビアンキャラについて

1回かぎりのゲストキャラじゃなくて、最後まで何度もお話に登場してくれていているのがありがたいところ。女性同士のセックスやいちゃいちゃのシーンも複数回あるんですが、ただの狂言回しのエロ担当に終わらず、ちゃんと「この人はこの人が好き」というブレない軸を保っているところも良かったです。

おっぱいとかおっぱいとかおっぱいとか

作者様(女性)が、巻末のおまけページで

もう無理ですぅ!! 総ルビの少年誌でおっぱいとかおっぱいとかおっぱいとか!!

と泣き伏す(そして、その後思い直してまた描く決意をする)ところに思わずウケてしまいましたが、本当に総ルビの少年誌とは思えないほどおっぱいとかおっぱいとかおっぱいとかの描写に力が入りまくった作品です。ちなみにおっぱいだけじゃなくて、アオリの構図のぱんつ絵なんかも、どう見ても18禁エロ漫画の世界。すげー。

あと、男女セックスシーンもちゃんとあるんですよ、この作品。それも寸止めでも朝チュンでもなく、ちょっとひとひねりしてあって面白かったです。チャンピオンREDって、ここまでやっていいのか。やっぱすげー。

まとめ

一見よくある思春期悶々ラブコメディなのですが、最後のオチがいいし、レズビアンキャラの扱いにも好感が持てます。非18禁でここまでちちしりふとももに力を入れた描写にも拍手。百合やレズビアニズムが主体の話ではないものの、楽しい一品でございました。