石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『エスケープ』(松原香織、シュベール出版)感想

エスケープ (シュベールコミックス)エスケープ (シュベールコミックス)
松原 香織

シュベール出版 2000-04
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読まなきゃもったいないよこれは!

18禁エロ漫画。以前紹介した『リベルラ』(松原香織、桃園書房)に収録されているレズビアン漫画「エスケープ(ACT.1~7)」の続きです。読んで驚嘆、SF要素もエロもラブも謎解きもこれでもかとばかりパワーアップしていて、前巻よりもさらにさらに面白くなってます。『リベルラ』(便宜上、以降は『1巻』と呼びます)だけ読んでこれを読まないのは、鯛焼きを食べて餡子を食べないようなもの。または、せっかくサンマを焼いたのにごはんを炊かないようなもの。読まなきゃもったいないよこれは!! すげーよ!!

SF要素について

まず、「羽根が生えた少女」「交尾」といった要素がただのケレン味にとどまらず、お話の骨子にがっぷり四つでかかわってくるところに唸らされました。また、そこから生まれるサスペンスがストーリー全体を引き締めているところも良いです。これはもう、同じレズビアン物の『STAINLESS NIGHT』(亜麻木硅、蒼竜社)以上にはっきりとSFしている良作だと言っても過言ではないでしょう。

謎解きと伏線の巧みさについて

前段で述べたSF的な展開についてですが、『エスケープ』を読んでから改めて1巻を読み返すと、実はこれが以前から周到に計画されたものであることがわかります。たとえばこのナレーション(1巻p38)にそれが顕著かと。

秘密の綴りで語られる

発信人のいない
奇妙なメッセージ

強烈な意志と
緻密な計画を
したためて

読まれる日まで
ひっそりと
封をされる

なんとなく読み流していたこの文章が、まさかそんなに大きな伏線だったなんて! もう、「参りました」と平伏したい気持ちでいっぱいです。

また、1巻ではただの当て馬または乱入男かとも思われた男性キャラクタが話の謎解きで非常に重要な役割を果たしていたり(まさかあのサングラスにそんな意味があったとは)、前巻でかすかにダークな雰囲気を漂わせていたあの人が予想通りダークなエロ展開を見せてくれたりしているところもとてもよかったです。どこまでも緻密に張り巡らされた伏線がうまく機能している作品であると言えましょう。

愛について

のえるとモナミの愛の深さがたまらんです。1巻ではまだふたりはお互いへの愛にはっきり気付いていませんが、ここに至ってもう大変なことに。セックスシーンもより熱く濃くなっていて、納得です。また、シビルの切ない立場もいいですよ。胸に迫るほろ苦いシークエンスがたくさんあって、『エスカレーション-HARD CORE- DVDPG』の未希なんかをちょっと連想したりもしました。

まとめ

『リベルラ』も充分面白かったのに、そこからさらにパワーアップしている傑作です。まだ完結はしていない模様ですが、続きが真剣に読みたいです。