石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ヤングガン・カルナバル―開催・バンケットの死闘』(深見真、徳間書店)感想

ヤングガン・カルナバル―開催・バンケットの死闘 (トクマ・ノベルズedge)

ヤングガン・カルナバル―開催・バンケットの死闘 (トクマ・ノベルズedge)

切ないぜー!!

ガンとアクションとレズビアン(複数)が大活躍の小説『ヤングガン・カルナバル』シリーズ第9弾。切ないぜ、この巻はー!! まさか、バイオレンス・アクション小説でこんなに切ない読後感になるとは思ってもいなかったため、まるで不意うちで胸のど真ん中にストレートパンチをぶち込まれたような気分で悶え苦しんでいます。ううう。

全力疾走のストーリー

今回の主な舞台は、非合法組織のアンダーグラウンドな戦い「カルナバル」の開催地メキシコ。カルナバル開催前から一瞬たりとも気を抜けない殺し合いの連続で、ストーリーの勢いといったら最初から最後まで全力疾走しているかのよう。弓華はトニー・ジャーばりのアクションを見せるわ、毒島ともあろう者が意外な苦戦をするわ、まさかと思う人が大変なことになるわと、とにかく激しいです何もかも。読んでて心拍数が上がりすぎて息が切れそうになるほどの、戦いに次ぐ戦いの1冊でした。

桃子の明るさで一息ついた、と思ったら……

お話の後半では、日本居残り組のヤングガンたちによる久遠伶救出作戦が描かれます。ここでは戦闘のみならずかなり陰惨なシークエンスもいくつか出てくるのですが、その中で燦然と輝いているのが桃子の明るさ。前巻までに撃たれたり公安に拘束されたりとさんざんな目に遭ってるというのに、パワフルに胴回し回転蹴りを決めながら、

「犯罪都市大阪のトップ・ヤングガンをなめんなや!」

て(p224)。さすがはかつて「ひまわり保育園のタイガーマスク」と呼ばれた女、やることが豪快です。桃子の明るい言動を見ていると、そこまで息が詰まるような血みどろの戦いを見続けてきたしんどさがほぐれて、とても楽しかったです。

楽しかったのです、が。

(詳しいことは伏せますが、)最後の最後でこう来たかー!

うわあああああああ。まさか、こう来るとは。せっつねえー! 胸痛えー! アクション小説だと思ってたら「某デンマークの童話作家の代表作・女性同士編」だったよ! ひー!

しかも、ヤングガンシリーズらしく、「この先いったいどうなるんだー!?」ってところで話が終わってますし、これはもう9巻が出るまで悶え苦しんでるしかないのでしょうか。うあああ。

レズビアン要素について

いつも通りレズビアンキャラ(複数)が大活躍です。ちなみにゲイ要素としては、一登と明憲の現在も描かれています。これまでと同じく、どのシークエンスもそのキャラが同性愛者であることをいちいち特別視しない描き方がされていて、読んでいてとても楽しかったです。

まとめ

緊迫感あふれる戦いの連続→桃子の明るさでほっと一息→かと思いきや、急転直下で超切ない展開(しかも女性同士の)、という、息をもつかせぬ1冊でした。レズビアンが大活躍する切ないアクション小説を読みたい人は、絶対買っとけ!