石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『わさびアラモードっ!!(1)』(もみじ真魚、芳文社)感想

わさびアラモードっ!! (1) (まんがタイムKRコミックス)

わさびアラモードっ!! (1) (まんがタイムKRコミックス)

スカッと笑いまくれる百合コメディ

いやー、楽しかったー! 百合コメディでこんなに笑ったのは『落花流水』(真田一輝、芳文社)以来じゃないかと思います。まず、「ヤマトナデシコ目当てで日本にやってきた外国人アオイ(♀)が、日本文化と触れ合いつつ女のコ好きっぷりを炸裂させる」というぶっ飛んだ設定がナイス。それでいてよくあるご都合主義的ハーレム漫画に陥らず、ちゃんと茜(♀)とのステディなカップルが成立しているところも好感度大。ラブラブなキスシーンがあるところも嬉しいし、ふたりの関係を見守るおっさんキャラたちの愛らしさもとてもよかったです。

炸裂する日本文化&アオイのオンナノコスキーっぷり

好きなのにハグできないなンて 絶対嫌!!

これは、第1話で一目惚れした茜をハグしたいのにできないアオイが目に涙をためて言う台詞(p22)です。ここだけ見てると感動の純愛ストーリーなんですが、ハグできない理由はなんと「茜は人に触られると反射的に相撲の技でぶん投げてしまうから」。そして、ハグしたい一心でアオイはこの後茜と相撲をとることになります。百合で相撲。何ですかこの前人未踏の境地は。おもしろすぎ。

作中にはこの後にも忍者・巫女・女体盛り(作中ではあくまで『乙女造り』ってことになってますが)などのさまざまな日本文化を背負ったヤマトナデシコが登場するのですが、そのたびにアオイの一本背骨の通ったオンナノコスキーっぷりが暴走しまくっていて楽しいです。非常に興味深いのは、アオイの女好きに関して、「男が嫌いだから女に走った」とか「女だけの環境にいるから女のコを好きになった」、みたいなヘタレな言い訳が一切登場しないこと。ただ単に好きだから好きなのだ、というあっけらかんとした描き方で、これはすごく気持ちよかったなあ。

萌えだけでなく愛もばっちり

ネタバレになるので詳しいことは伏せますが、第1話の後半の展開がすごいですよ。「いいのかそれでー!!」とレズビアンのあたしですら突っ込みたくなるほどでした。ふふふ。そこから始まって、第4話ではさりげなく同衾していたりするアオイと茜の仲良しっぷりがとてもよかったです。

おっさんキャラたち、素敵すぎ

これは声を大にして言いたいです。好っきだー、このおっさんたち!

『わさびアラモードっ!!』の舞台は茜が親からうけついだ日本旅館なんですが、そこの従業員のおっさんたちがそりゃもうキュートなんですよ。みんなとにかく女将の茜が大好きで、しきたりに忠実で、ちょこっと(かなりか?)アホだったりするところがたまりません。茜の相撲を「おかみさんの大一番」と呼んで喜ぶわ、アオイと茜の関係を止めるどころか大喜びで盛り上げるわ、アオイに無茶を言われても(しゅんとしつつも)ちゃんと従うわと、彼らの行動はもうもう可愛くてしょーがないです。皆見た目はむさいおっさんなので、そのギャップもまたいいですね。

人によっても違うでしょうが、あたしはいちいち男性を貶めて相対的に女のコ同士の関係を持ち上げようとする百合作品って苦手なんですよ。その点この作品はおっさんたちの描写に愛があふれていて、安心して読むことができました。

まとめ

「百合で相撲」という前人未踏の設定で始まる抱腹絶倒のスラップスティックコメディ。ギャグマンガとしても良質ですし、愛もきっちり描かれています。また、百合関係にいちいちくだらない偏見をくっつけず、「この人は女のコ(より正確に言うと、ヤマトナデシコ)がひたすら好きなのだ」ということをスカッと描いてくれているところがとても楽しかったです。おすすめ!