石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『楽園の条件』(森島明子、一迅社)感想

楽園の条件 (IDコミックス 百合姫コミックス)

楽園の条件 (IDコミックス 百合姫コミックス)

あったかくてやわらかそうでラブラブな百合漫画

うっわー! あったかくてやわらかそうでラブい表紙絵(女のコふたりが裸でハグ)だけで「おおおおお、これだけで充分元が取れる!」と感涙にむせびそうだったのに、中身はさらにさらに良かったよ! 『カタハネ』レビュー)で始まった2007年のしめくくりにこんな良い物を読むことができて、「まさに今年は百合のビンテージ・イヤーであった」と思いました。

『楽園の条件』のここがすごい

1. 女のコの身体の描き方

なんですかこのやわらかそうでおいしそうな身体の描き方はー!? 女体をただの萌え記号やエロ記号として消費するんではなく、ちゃんと血の通った、体温のあるいとおしい存在として丁寧に描いている感じなんですよとにかく。乳尻太モモなどの記号的なパーツにばっかり力を注いだ裸絵なんてのは世の中に星の数ほどありますが、『楽園の条件』に登場する女のコたちは、膝頭も背中のくぼみも肩の丸みも二の腕も手の甲や喉のラインも(そしてもちろん乳尻太モモもな!)みーんな魅力的で、見とれまくってしまいました。いや、眼福眼福。

2. 思春期限定の「なんちゃってレズ」話じゃない

収録されている8本のお話のうち、7本が大人(20代とか)同士の恋物語です。しかも、どのお話も、「女同士は禁断」だの「背徳」だの「いずれ異性愛に回帰するはず」だのというアホな異性愛至上主義&ホモフォビアとはかけ離れたところにあるラブラブ話。その上、ちゃんと女同士の恋の切なさや迷いや可笑しさも丁寧にすくいあげたお話ばっかり。これは嬉しかった。ほんっと、嬉しかったです。「百合ー? どうせ女子校で『おねーさまー』とかやってるホモフォビックな話ばっかりなんでしょー?」とお思いのレズビアンにこそ読んでほしいステキ作品ばっかりですよこの一冊は。

3. 抱っこシーンがラブい

「とにかく本屋さんに走って表紙と裏表紙を見てくれー!」と声を大にして言いたいです。ハグの絵に、とにかく好きなひとを抱っこする/好きなひとに抱っこされる気持ちよさや嬉しさがぎゅっとつまってるんですよね。ちなみに作品中の抱っこシーン(お姫様抱っこなんかも出てきます!)もどれもみな良かったです。また、ハグだけでなくキスやセックスの描き方も、器官の接触/摩擦とオーガズムにばかり焦点を当てた男性向けエロとはぜんぜん違う優しさにあふれていて、ナイスでした。

まとめ

一冊丸ごと女のコ同士の、ラブくて可愛くておいしそうな恋愛漫画集です。いらん偏見や男性目線のエロ路線もなく、キスもセックスもハグも愛情たっぷりで素敵でした。いやー、いいもん見た。幸せ。