石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

PCゲーム『オトメクライシス』(戯画)レビュー

オトメクライシス 初回限定版オトメクライシス 初回限定版

戯画 2008-03-28
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微妙に不完全燃焼な変身ヒロインレズゲー

さまざまな次元を飛び回り、戯画ヒロインを犯しては人形化しコレクションする犯罪者「ローリエ」と、それを追う捜査官「緋色」(ひいろ)の物語。ストーリーモードは分岐なしの一本道で、主人公をローリエと緋色の二人から選ぶことができます。絵は可愛いし、いいところもいっぱいあるのですが、あちこちに不完全燃焼感も残るレズゲーでした。緋色編よりローリエ編の方がまだおすすめですが、それでも手放しで全褒めするのはちょっと難しいかと。以下、よかったところとひっかかったところを列挙してみます。

よかったところ。

1. 野郎との絡みなし

ちんこは一本たりとも出てきません。(※器具使用はあり)

2. 可愛く綺麗な絵柄

そつなく美しくまとまってたと思います。木漏れ日の中でのエロシーンなんかも綺麗だったし、オープニングもかっこいいです。

3. ローリエの性的興奮の描写

ローリエはちょっと嗜虐性のあるタチ娘なんですけれども、

「そう、そうやって泣くの。ほら、いい声で泣きなさい! 私のために! 私の快楽のために!」

「そう、そうよ。そうやって泣いて、喘いで! その姿が女の子は一番かわいいから!」

……なんて台詞を入れるあたり、うまいなあと思いました。声優さんもかなり興奮したボイスをあててくれていて、「女同士だと、する側は快感がない」とかいうアホな俗説を吹っ飛ばす小気味よい描き方だと思います。

ローリエ編での、緋色との行為中の心理描写もよかったです。ちなみにこちらでは、嗜虐チックな興奮ではなく、緋色をいとおしく思う気持ちを中心に据えてローリエの昂りが描かれています。

4. バカゲーっぽさ

ハードマン課長のすっとぼけたセクハラおっさんぶりとか、「マジョラム家に伝わる究極奥義、『エレクトリカルフットマッサージ』」とか。

5. バトルが簡単

難易度設定ができるので、アクションが苦手な人でも簡単に進められます。

6. 一応はハッピーなエンディング

思春期限定とか成長の一過程とかの話ではなく、これからも関係が続いていくことを示唆するエンディングでした。

ひっかかったところ。

1. 尺の短さ

エロシーンの短さときたら、『雷の戦士ライディ~破邪の雷光~』なみ。今どきのエロゲとは思えません。

2. 同性愛への偏見&異性愛マンセーがちらほら

特に緋色編の方がひどいのですが、ローリエ編にもちょっとひっかかるところがありました。

緋色編について

ハードマン「ただ、彼女は同性しか愛せない、言うなればレズっ子らしくてねぇ」

自分たちだって『異性しか愛せないヘテロっ子』のくせに、何ですかこの上から目線は。

緋色「ボクはノーマルですっ」

出た! 「異性愛=正常(ノーマル)」という、傲慢きわまりない定義づけ! ちなみに19世紀とかならともかく、現代の精神医学では、同性愛は「異常(アブノーマル)」とはみなされていませんよ、念のため。いいかげんに「ノーマル」以外の単語を学べよヘテロセクシュアルはよ。

翠「小さな女の子にあんなことされるなんて、あたしの趣味じゃないし」

性的指向は「趣味」とは違います。

ほか、緋色編では女のコ同士のセックスが、「好きだから」とか「相手に欲情したから」とかでなく、ひたすら「緋色の特殊なフェロモンで興奮状態に陥ったから」という理由だけで行われるのがいただけないと思いました。そんなに女が嫌なら男とやれよみんな。

ローリエ編について

ローリエが迫害されたのは同性愛者だからだってことになっていますが、実質的には「同級生の体を舐め回すように見て嫌がられたから」でしょう、これは。そんなセクハラ行為、異性愛者がやったって「あいつキモい」って迫害されるはず。それを「同性愛者だから」嫌われたんだって話にすりかえてまうところが理解不能。あと、緋色への愛が突然「お姉さま」という使い古された構図に落とし込まれてしまうのもどうかと。なんで恋人とか伴侶とかいう方向に行かずにいきなり「お姉さま」?

3. 緋色のキャラが薄っぺらい&ラブ度が低い

緋色の魅力が薄い、と思うんですよ。彼女の「正義」はおおむね言葉ばかりで見せ場がほとんどなく、まるで戦隊ものに影響されて正義正義と連呼するだけのお子様みたいに見えてしまいます。おまけに、自分は「ノーマル」だと騒ぐばかりで今ひとつローリエへの愛が育っていかないところも致命的です。

ラブ度の低さに関してもうひとつ言っておくと、どちらのシナリオでもローリエと緋色のエロシーンにキャラ単体絵しかないところが意味不明。「オカズでござい」風に緋色がパンツ脱いで四つん這いになってるだけとか、ローリエが全裸で股間開いてあおむけに寝てるだけとかばっかりで、要するに、ふたりがちゃんと抱き合ってる絵が一枚もないんですよ! ヘテロゲーで男キャラを消すのと同じノリでそうしたのかもしれませんが、レズゲーでこれはないよ。

4. 戯画ファン向けとしても位置付けが謎

これまで戯画のゲームをしたことのない自分にとっては、キャラが多すぎて何がなにやら。戯画ファンにとっては嬉しいのかなあ、と思っていたのですが、我が腹心の友toppoiさんからこのようなご指摘が。

ところで、私はそれほど戯画のエロゲー好きじゃないから大したダメージなかったけど、ファンがコレ見たらどう思うんだろうね。翠とカトレアの濃厚レズプレイとか、会長がぽっと出の新キャラにレズレイプされるとことか、見て喜ぶ奴いるのか?正直分からん…。こういう「女同士なら何やってもおk」な空気は嫌だなぁ。

オトメクライシス いいかげんなレビュー - とっぽい。

確かに、それはあると思いますねー……。

まとめ

レズゲーとしても、戯画ファン向けのファンディスク的な存在としても微妙に中途半端なゲーム。ただし絵はとても可愛いし、ローリエ編の心理描写には見るべきものがあると思いました。もうちょっとホモフォビアを減らしてラブ度を上げてくれれば、少なくともレズゲーとしてはもっと評価が上がったのになあ。とりあえず個人的にローリエがツボったので、これからもう一周してきます。