石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

※ネタバレ※『アオイシロ』 における、戦闘中の緊迫感ゼロ会話例

アオイシロ(限定版)

アオイシロ(限定版)

会話例1(ネタバレ)

以下、汀ルートにおける梢子と汀の会話です。門が開き、汀は剣鬼カヤと闘うが劣勢。そこに梢子が蜘蛛討ちで参戦……という緊迫した場面のはずなんですが、恐ろしい(はずの)敵と命のやりとりをしている最中だというのに、この呑気っぷりはいったい何?

梢子「まったく、何やってるの!」

汀「オサ……」

汀「ちょっとオサ! あんた、何しにきたわけ!?」

梢子「夏姉さんをまだ諦めてないのと――」

梢子「あなたの手伝いに決まってるでしょ!」

汀「あらあら、一般人が面白いご冗談をお言いで。あたしに勝てないオサがいたところで、物の数にも入らないでしょうに」

梢子「そうかしら?」

汀「そうですとも!」

梢子「私さ、今の汀になら、けっこう楽勝で勝てる気がするんだけど」

<<剣>>の瘴気の効能には、どうやら個人差が大きいようで、汀と違って私の動きは普段とさして変わりがない。

汀「やせ我慢――って感じじゃなさそうね」

梢子「多少は気持ち悪いって、思ってるけどね」

汀「化け物……」

汀「あんた、やっぱり鬼なんじゃないの?」

梢子「比喩ならそれも、やぶさかじゃない」

汀「鬼部長、いいわねえ」

梢子「それで、どうする」

汀「オサが囮で、あたしが遊撃。あれだけ大振りなら、避けられるでしょ?」

ふたりが能天気にこれだけ喋っている間、ご丁寧にも剣鬼は何もせずに待ってくれています。変身ヒーローのキメポーズの間じっと待っているモンスターより、はるかに忍耐強いですね。

会話例2(ネタバレ)

会話例1の直後にも、ふたりは悠長にこんな会話に没頭。戦闘中なんですよ一応。しかも、相手はめちゃくちゃ強いはずの剣鬼なんですよ?

梢子「不死身の死なない怪物と戦う時って、何かセオリーあったっけ?」

汀「三十六計、逃げるに如かずか――」

汀「オサ、どうすればいいと思う?」

梢子「八岐大蛇と須佐之男だっけ? 火で傷口を焼くって話がなかったかしら」

汀「惜しい、それはヒドラとヘラクレス。カテゴライズは合ってたわよ――っと」

夏姉さんの攻撃を避けながら、汀は私の言葉を正す。けれどもどちらも英雄が多頭の蛇を退治するという、大筋の部分は変わらない。

汀「ちなみにヒドラは九頭で、八岐大蛇は八頭で、あたしの地元のマータンコーは七頭の蛇っ!」

汀「八岐大蛇とマータンコーは、酒浸りにして寝首を掻くって、倭建命や源頼光にも使われた、常套手段で倒されてるけどっ!」

汀の放った斬撃が、夏姉さんの喉笛を切り裂くけれども――

汀「瘴気にくらくら酔わされてるのは、むしろあたしたちの方かもねっ!」

やはり一撃で首を落とすぐらいでなければ、この<<剣>>に憑かれた剣鬼は倒せないのだろうか。

この場面でこんなにもダラダラと「調べ物発表会」的会話を繰り広げる必要はあったんでしょうか。この間、一応カヤは申し訳程度に攻撃してはいるようですが、あまりにも緊迫感がなさすぎると思います。