石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『はやて×ブレード(8)』(林家志弦、メディアワークス)感想

はやて×ブレード 8 (電撃コミックス)

はやて×ブレード 8 (電撃コミックス)

ついにあの人が登場

名前しか登場していなかったあのキャラがついに登場。1巻から大切に温存されてきたでっかい伏線が、いよいよ回収に入る模様です。アクションコメディとしての面白さも百合漫画としての良さもそのままに、ドラマがきっちりと動きだしているところがとてもよかったです。

余談:順がエロエロ大魔神でも全然イヤな感じがしないのはなぜか考えてみた

2008年1月26日の日記「なぜ創作物の中のレズビアンやバイセクシュアル女性は色情狂として描かれがちなのか」を書きながら、ずっと考えていたことがあるんですよ。それは、「『はやて×ブレード』の久我順は始終女性相手に発情しているのに、レズビアン全体を貶めるようなネガティブイメージがないのはなぜだろう」ってことです。8巻を読んでいて思い当たったのは、以下の理由。

1. 順は実は「誰彼かまわず」ではない

一見無節操な女好きに見える順ですが、実は彼女が熱くアプローチするのは綾那、大切に護ろうとするのは夕歩、という路線が終始一貫してるんですよね。単に相手が女性だからと言って、たとえば桃香や犬ちゃんやひつぎ相手に、綾那に対して見せるような熱情を示すことは絶対にないし、ましてや口説くこともない。女体大好きなエロい人ではあるけれども(ちなみに8巻でも、ドラマCDがらみでアホな提案をいっぱいしていてウケました)、実際の行動を見ていると、誰かれ構わず言い寄るとか襲いかかるとかは絶対にしないキャラなんですね順は。そこが、ありがちな「同性愛者=見境なしにヘテロ女性を狙う色情狂」という描かれ方とは随分違っていると感じました。

2. 女性同士の関係性自体に肯定的な世界である

この漫画では、濃淡の違いはあれど、実は順以外のキャラもみんな女のコが好き(たとえ友情路線でも)だったりします。つまり、お話全体が、「どストレートの中にひとりだけ同性好きがいて、異端視されている」という構造には全然なっていないわけです。8巻でも、主人公はやてからしていつも通り綾那に首ったけですし、綾那は綾那で「念を送れ」なんていう可愛いシーン(読めばわかります)がありますしね。この巻では他にもさまざまなペアの絆や友情がしっかりと描かれており、とにかく女性が女性を大切に思うことに肯定的な世界だということがよくわかります。こういう世界だからこそ、順が黒い羊として周囲から変に浮き上がる(というか、浮き上がらされる)こともないんだなあと思いました。

その他、8巻で面白かったところ(箇条書き)

  • 牛。
  • 芋。
  • 「しぐまも○○○○(伏せます)になっちゃうん!?」
  • 「翌日仕上げ」
  • 飯のトレー持ったままで熱く燃え上がるあの人とあの人
  • 頬染めて家政婦さんに電話するあの人
  • 第2回ドラマCD会議のみなさん

8巻のまとめ

いつも通りのハチャメチャな面白さや女のコ同士の絆も健在ながら、物語がついに大きく動き出している巻でした。今後の展開からも、目が離せません。