石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『カプレカ』(ネツマイカ[画]、松本真[原作]、ジャイブ)感想

カプレカ 01 (CR COMICS)

カプレカ 01 (CR COMICS)

キスで合体する変身ヒロイン物。百合と呼ぶには微妙かも

羽乃(うの)と優奈(ゆな)のふたりの少女がキスすることで合体し、別人格のスーパーヒロイン「カプレカ」となってモンスターと戦う物語。出だしはかなり百合っぽかったのに、第3話から男性キャラクタ「ハジメ」が唐突に登場し、それ以降はハジメ視点で物語が進むため、お話の軸がぶれてしまっています。設定自体には面白い点が多いのに、残念です。

このへんは面白いです

いきなりキスで始まる第1話

恋愛感情によるキスではない、とすぐわかるようになってはいるのですが、貧乏暮らしをしながらお互いを支え合う羽乃と優奈の姿は可愛いです。「このほうが早いよ!」と羽乃が優奈をおんぶするシーンなんかもマル。

単純な「正義の味方物」ではないところ

羽乃と優奈には記憶がなく、自分たちの身体を「改良」した組織ARCAに借金を払うために戦い続けている、という設定がユニークです。ARCAの借金取り「山田(仮)」が食えない奴であることもあいまって、ふたりが完全に騙されて利用されている可能性も捨てきれず、単純な正義の味方物とは違うひねりのきいたお話になっています。

謎とうさんくささ

山田(仮)が羽野たちに見せる「契約時のビデオ」に登場するふたりの謎めいた様子も興味深いし、カプレカに執心する山田(仮)自身のうさんくささも、とてもよかったです。

でも、このへんがブレている

冒頭で書いた通り、第3話からいきなり男性キャラ「ハジメ」が登場し、それ以降はハジメ視点でお話が進むんですよね。そのため、第2話までは「ヒロインふたりが助け合いながら自由を目指す話」だったのに、第3話以降は「ハジメが羽乃・優奈やカプレカを見てドキドキ興奮する話」に成り下がってしまっています。要するに、少女同士の話としてスタートしておきながら、いきなり途中から「男が女に興奮する話」に変貌してしまっているということです。男性読者の感情移入のしやすさを狙ってのことかもしれませんが、なら最初からそういう話にしておけばいいのに。とにかく、この無理やりな路線変更は読んでいてたいへん興ざめでした。

まとめ

出だしは「百合風味の変身ヒロイン物」なのに、途中からあっさり「男性が女性ヒロインに興奮する話」に変わってしまっているところが致命的。まだ1巻ですので先のことはわかりませんが、このまま話の主要素が「男が女に興奮する」路線で固定されてしまうのなら、残念ですがこれは百合作品とは呼びにくいものになっていくと思います。