石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『めがねのひと』(日坂水柯、白泉社)感想

めがねのひと (ジェッツコミックス)

めがねのひと (ジェッツコミックス)

全10話中、1話だけが百合話

ド直球な表題通り、眼鏡フェチ要素がぎっしり詰まった短編集。絡みのシーンがとても多いのですが、デザイン筆で描かれた女体のラインがエロくて、特にフトモモのむっちり感と立体感にはやられました。女のコ同士のお話は「『波』の話」だけなので、百合要素のみを目当てとされる方にはあまりおすすめしません。眼鏡好きで男女エロもOKな方なら、読んでみて損はないと思いますけど。

「『波』の話」について

ひらたく言うと「レズビアンカップルの片方が、オーガズムを感じたことのないパートナーをイかせてあげたいと願う話」なのですが、静かなエロスと優しさが漂う素敵な掌編でした。男女エロでイくのイかせるのという話になると支配欲とか征服欲とか男女間のいろんな誤解とかが絡んできてうざったい展開になりそうなんですが、これはさすがに女女エロだけあって、

自分が凄く幸せな気持ちになるから 同じ思いして貰えたらいいなあって …そう思ってるだけ

というシンプルな気持ち(p145)が軸になっており、良かったです。ここで「同じ思い」という言葉がするっと使えるのが同性同士の強みですよね。相手の女のコの方が、

気持ちよさそうにイッてるの見ると 私もすっごく気持ちよくなるよ
だからさー 自分自身のそういうのって 私にとっては大した――

とニコニコしている(p145)あたりなんかも、可愛くてしかもリアル感があり、なんだかいい感じでした。

その他のお話について

リリカルかつエロい恋愛物が主体です。特徴的なのは、すべての話に小道具として眼鏡が使われていること。高揚すると眼鏡が曇ることをうまく生かした「くもりレンズの。」「ヨワリメクモリメ」や、性愛における視覚の役割をテーマとした「あおられるひとたち」などが特に面白かったです。また、冒頭でも少し書きましたが、筆によるやや太いタッチで描かれた女体のエロさもよかった。腰はきゅっと細いのに、お尻やフトモモはしっかり張っていて、立体感と存在感があるんですよね。あえて難を挙げるとするなら、キャラクタの顔の見分けがつきづらいところぐらいでしょうか。

まとめ

どちらかと言うと、眼鏡フェチの男女エロ好きさん向けの本だと思います。百合要素だけを求めるのなら、11話中3話が女同士の話だった前作『レンズのむこう』(白泉社)の方がおすすめ。ただし、本作唯一の百合短編「『波』の話」自体は決して悪くないので、ページ数&話数が少なくてもOKな方なら、こちらもぜひどうぞ。