石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ちょいあ!(1)』(天蓬元帥、徳間書店)感想

ちょいあ! 1 (リュウコミックス)

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オタク&同人ネタ満載の百合4コマ

姫カットのロリ娘「マユ子」と金髪碧眼のクォーター「小聖(しょうせい)」のメインカップルを軸に綴られる学園百合4コマ。絵がとても綺麗で可愛らしいし、豊富なオタク&同人ネタも楽しかったです。マユ子と小聖以外のキャラも個性的でよかった。ただ、「同性愛はピュアじゃないけど百合はピュア」的な価値観が露呈しているところには正直萎えました。そこさえなければもっとよかったのになあ。

良かった点いろいろ

    • 柔らかいタッチのとても可愛らしい絵柄が素敵です。4コマどころかストーリー漫画でも十分いけるぐらい綺麗な絵だと思いました。入浴シーンなんかも出てくるのですが、色っぽいのに「オカズでござい」風のあざとさが全然なくて、ほのぼのと見とれてしまいました。
  • キャラ
    • 欲望に素直な漫研部員まわた、そのまわたの上を行く生徒会長楓子、クールで客観的だけれど結局ヲタな杏子、なぜか常にガスマスクをかぶっているガス子など、みんな特徴がはっきりしていて可愛かったです。ありがちなテンプレ萌えキャラがひとりもいないあたり、すごく丁寧なつくりのお話だと思います。
  • ラブ
    • なんだかんだ言ってマユ子と小聖の仲良しっぷりは微笑ましくてナイスです。
  • 豊富なオタクネタ
    • ツンデレやメイドなどのわかりやすいネタから、平成キッズについていけるのかと心配になってしまうようなディープなネタまで幅広く盛り込まれていて、面白かったです。

「同性愛はピュアじゃないけど百合はピュア(?)」という価値観について

作中には、マユ子と小聖がコミケでレズビアンの外国人のコスプレイヤーに出会うというシーン(p26)があります。小聖はコスプレイヤーがマユ子にくっつき過ぎだと怒り、以下の会話が展開されます。

コスプレイヤー: "No, no, don't get mad."(このくらいで怒らないでほしい)
コスプレイヤー: "This is just a hello in my country."(私の国ではこの程度挨拶みたいなもの)
コスプレイヤー: "Are you a gay?"(それともあなたは同性愛者か)
小聖: 「なッ!?」
小聖: 「ふざけないで!! 私とマユ子ちゃんの関係は……もっとピュアなものよッ!!」

何すかこの「ピュア」って。

ちなみに小聖の普段の行動は、

  • マユ子が目をつぶった隙に唇にキスしようと企む(p44)
  • マユ子の服に手を突っ込んで直に胸を触ろうとする(p68)
  • つーか「泣くまで揉ませてもら」う(p75)
  • 酔った勢いで力づくでマユ子にキスしようとする(p99)
  • マユ子に「好きです つっつっ…つきあってくださいっ!!」と真面目に大告白(p124)

というものです。で、何なんですかあの「ピュア」って。

これだけの言動をとっておきながら、自分は同性愛者じゃなくて「もっとピュア」な関係だとは恐れ入ったものです。いったい、この人の中で、同性愛はどんだけ「不純」なものだと妄想されているのでしょうか。要するに、この台詞ひとつで小聖はただの「ホモフォビアを内面化し切った自己中セクハラ女」に見えてしまうわけで、そこがきわめて残念でした。レズビアンのレイヤーさんが爽やかで明るい人に描かれていたのが、まだ救いっちゃ救いですけれども。

まとめ

全体的には、「オタクネタ満載のほのぼの百合4コマ」。キャラも絵柄も可愛いし、いいところもある漫画なだけに、小聖のホモフォビアがよけいに痛かったです。2巻にはそういう要素がなくて、思いっきり楽しめるといいなあ。