石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『少女の季節』(咲香里、笠倉出版社)感想

少女の季節 (カルト・コミックス)

少女の季節 (カルト・コミックス)

成年指定でないのが不思議

「トライアングル・バレル」「あの夏の序章」「エリザベート」の計3本がレズビアン物です。少女漫画風の綺麗な絵柄でありながらエロもたっぷり描かれており、なぜこれが成年指定でないのか不思議なほど。ただし、♀♀物に関しては、結局は男も混じった3Pになったり、バイセクシュアルの扱いが微妙だったり、なんか生えてる人がいたりで、個人的にはあまり合いませんでした。むしろヘテロ物の方が面白い1冊かも。

レズビアン物3篇について

「トライアングル・バレル」
「舞」と「のりこ」のふたりが友達同士でなんとなくHしているうちにのりこの兄が帰宅し、なしくずしに3Pになだれこむというお話。舞ものりこも結局はヘテロであること、セックスを始めたきっかけに「女同士だから大丈夫」という謎の理屈が使われていること、「女性同士の絡みはAV用」的なオチなどから、個人的には今ひとつ。
「あの夏の序章」
主人公「エミ」がバイセクシュアルの「涼子」に誘惑されてレズビアニズムに目覚める話。エロシーンは豊富なもののあんまりラブくないし、「バイセクシュアル=浮気者」という偏見をなぞるような表現が出てくるところがちょっと残念。
「エリザベート」
多数の少女に残虐行為をはたらいたことで有名なハンガリー貴族エリザベート・バートリを主人公とする歴史もの。白と黒のメリハリが効いた美しい画面構成がとてもいがいし、恐怖とエロスがないまぜになった妖しい雰囲気もナイス。ただ、惜しむらくは、生えるんですよねエリザベートに。このあたりの展開は人によって好みが分かれるところでしょうが、あたしにはあんまり合いませんでした。生えてない方がエリザベートのコワさがより引き立ったんじゃないかと思うんですよねー。

その他の収録作について

ヘテロ物の「少女の時代」が、ロリを新鮮な切り口で描いていて面白かったです。レズビアン物よりも、実はこちらの方が面白かったり。少女のしたたかさと切なさを両方描き出しているところと、美しくリリカルな結末が印象的でした。

まとめ

絵はとても綺麗なのですが、レズビアン物3篇には女性同士の感情のつながりはあまりなく、それよりも陳腐な社会通念の方が目立ってしまっている感じ。「エリザベート」が生えてなくて、純粋に女同士の恐怖と支配を描いてくれていたら、もっとよかったんだけどなあ。♀♀漫画より、男女ロリ漫画の「少女の時代」の方が光っている1冊だと思います。