石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『かなめも(1)』(石見翔子、芳文社)感想

かなめも (1) (まんがタイムKRコミックス)

かなめも (1) (まんがタイムKRコミックス)

彩り豊かな百合ワールド

新聞専売所で住み込みで働く女のコたちの物語。あったかくて可愛くてきちんと百合も入ってる、楽しい4コマでした。ようじょ萌え(ストライクゾーンは7〜15歳限定)のキャラクタ「はるか」の暴走っぷりには、「このままただの百合萌え変態レズビアン(?)ギャグばっかりで終わっちゃったらどうしよう」と思わんでもなかったのですが、そこはさすがにあの『スズナリ!』をものされた石見翔子さんの作品。読み進むにつれて、ガチなあまあま♀♀カップルはいる(キスシーンありです!)は、ガチでないペアも心の交流がきっちり描かれるは、主人公「かな」にもカップリング相手は登場するはと、実に彩り豊かな百合ワールドが展開され、大満足でした。

ちなみに、全然百合要素だけの漫画なんかじゃないんですよ、これ。この作品の本質は、とあるキャラの台詞「みんなで倖せになろうね」にあると思います。要するにこれは、ひとクセもふたクセもある新聞奨学生の少女たちが、すったもんだしながらみんなで幸せをつかんでいく話なんです。そのあたたかさがとてもいいし、それでいてちょっとしたダークさやしたたかさが随所に仕込んであるところも心憎く、楽しめました。

まとめ

ハートウォーミングな4コマの中に女のコ同士の恋も仲良しも百合萌えも盛り込んで、なおかつ単なる甘ったるいだけの話にはなっていないという素敵なコメディ。超おすすめ。特に、『スズナリ!』ではまって、「次回作読みたいけど、百合じゃなかったら嫌だし……」と迷っておられた皆様、これは買いですよ!