石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『あぶない! 図書委員長!』(西川魯介、白泉社)感想

あぶない!図書委員長! (ジェッツコミックス)

あぶない!図書委員長! (ジェッツコミックス)

属性萌えギャグ漫画でありつつ、ガチな百合恋愛も登場

表題作(全6話)及び「dioptrisch!」(全3話)が収録された1冊。面白かったです! 

「あぶない! 図書委員長!」は、メガネ・巨乳・委員長・メイド・百合・やおい・女装少年など、さまざまな属性萌えを万華鏡のように散りばめたギャグ漫画。一方、「dioptorisch!」はメガネ属性と百合恋愛に特化したコメディ。どちらも「萌え」を扱いつつ「萌え」の薄っぺらさもチクリと描き、「萌え」を超えた「愛」を展開してみせるところが面白いのですが、特に「dioptrisch!」に登場する女のコから女のコへの想いが良かったです。

「あぶない! 図書委員長!」に見られる百合属性

第2話「薔薇よ、薔薇よ!」の「薔薇の穴」

少女同士で互いに糖蜜を注ぎかけて愛撫し合う校内秘密結社「薔薇の穴」が登場。メンバーのひとり「早苗」主人公「ふみみ」を好きになり、マッサージと偽って糖蜜遊戯に巻き込むが……というストーリー。オーガズムのシークエンスなんかもあり、どちらかと言うと恋心より「快楽とドキドキ」寄りのお話と言えるかも。

第6話「Honeydew Assasin 乙女一匹百合大将」の「ゴッデス・ハンド」

「ゴッデス・ハンド」という通り名の「乙女ごろしの百合ハンター」なボクっ娘がふみみを狙う話。ゴッデス・ハンドのセックステクニックを逐一「空手バカ一代」風に説明していくところが面白すぎ。

「ゴッデス・ハンド」の舌はまさに淫具…いや! 凶器であった!
舌だけで逆立ち歩きができ硬化を二つに折るその威力の前に少年はたまらず撃沈…!

とか(p. 89)、

手刀一閃――露になった猛乳(ニセ)に自然石をも穿つ必殺の指先が襲いかかった!!
同時に…裂帛の気合をこめた乳首なめが炸裂!! その衝撃はニセ乳を貫通――

とか(p. 91)。

ただ、ゴッデス・ハンドは別にふみみに惚れているわけじゃないんですね。ふみみのことが気に入ってはいるようですが、「メガネっ娘は大好物さ」と台詞にもある通り、これは単なるメガネ属性。

「dioptrisch!」に見られるガチ百合恋愛

上記の通り、「あぶない! 図書委員長」では、百合要素はあくまで属性ギャグの一環として描かれており、恋愛色は薄いです。これはこれで充分面白くてホクホクしていたのですが、「dioptrisch!」では女のコ同士の関係が属性云々を超えた「愛」としてはっきり描かれており、「参りました」と思いました。

「dioptrisch!」は、主人公「阿部尚子」が、暑苦しいメガネ萌え軍団及びアンチメガネ派の生徒会役員から美人メガネっ娘の「真萩先輩」を守ろうと苦闘するお話。尚子が大ゴマで叫ぶこのセリフが特に感動的です。

メガネでもなんでも真萩先輩はステキだろうが! 細かい上っ面のことをグチグチとしつこいんだよ!

つまり、属性ネタ満載のこのお話の中で、尚子だけが属性を超えたところでヒロイン真萩を愛しているんですね。「萌え」も「属性」も、尚子のような「この人がまさにこの人だから好き」という「愛」には勝てません。実際この少し後、実は尚子の恋が両想いであったことが示唆され、微笑ましくもコミカルなハッピーエンドで物語は幕を下ろします。百合ネタがただの相手構わずの萌え属性として消費されて終わりでない点が、しみじみと良かったです。

まとめ

冴えわたる萌え属性ギャグだけでも面白いのに、女のコ同士の鮮烈な「愛」もきっちり描かれているという、一粒で二度おいしい感じの作品でした。ややクセのある絵柄は多少読む人を選ぶかもしれませんが、おすすめです。