石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『狂詩曲』(結城稜、東京三世社)感想

狂詩曲 (DOコミックス)狂詩曲 (DOコミックス)
結城 稜

東京三世社 2000-02
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プラトニックとSMエロの、2本の百合短編あり

18禁エロ漫画。収録作「2人の関係」「美しき女の世界」が女同士のお話で、あとは姉弟・兄妹のインセスト物およびちょっと強引なヘテロ話です。百合(またはレズビアン)物に関しては、プラトニックな「2人の関係」の方がおすすめですが、女同士のSMや複数プレイが萌えポイントな方には「美しき女の世界」の方がツボかもしれません。

「2人の関係」について

女子高の後輩「涼子」に惚れている美貌の先輩「鈴香」のお話。涼子の写真を隠し撮りしたのを本人に見つかり、

涼子「写真におさめてどうすんですか」

鈴香「毎晩眺めながらオナニー」

とあっけらかんと返す鈴香(p. 74)が面白すぎます。そう、これって「お姉さま(はぁと)」系のファンタジックな百合話でも、偏見持ちが喜びそうな背徳/禁断系のお話でもなく、女のコがただあっけらかんと女のコに恋する物語なんですよ。そのさっぱり感と肩の力の抜け具合が、とてもよかった。ちなみにエロはなくキスどまりなんですが、鈴香のいじらしさとおバカさがしっかりとお話を盛り上げており、愛も充分。微笑ましいオチもナイスで、いっそこのノリで連載物にしてくれたらよかったのにと思いました。

「美しき女の世界」について

奇術部を自称するSMサークルの女たちに拘束され犯される「松島さん」(♀)のお話。キャラたちの間に恋愛感情はなく、あるのは性的な悦楽のみです。そういう意味では、これはレズビアンというよりも単なる「レズビアンプレイ」を描いた漫画だと言えるかもしれません。レザーやチェーンを使った拘束具、ペニバン、鞭、4Pなどが登場するので、そのへんがお好きな方には良いかも。
ちなみに凌辱物であるにもかかわらず陰惨さはあまりなく、奇妙なユーモアが漂っています。特に、奇術部の皆さんに

  • 指先の魔術師若葉
  • 腰師の亜美
  • 鞭師の梨江子

などと二つ名前がついているところにはウケました。「腰師」て一体。

その他の作品について

姉弟物「姉弟ラプソディ」やヘテロ物「あなたがいちばん」にちらりと顔をのぞかせるダークさが面白かったです。女のしたたかさとかコワさとかの使い方が巧みな描き手さんだと思います。ちなみに「姉弟ラプソディ」には女同士のレイプ&破瓜なんてシークエンスも出てきますよ(それがお話のメインというわけではありませんが)。

まとめ

レズビアン漫画としては「2人の関係」イチオシ。ただしこれはプラトニックなお話なので、恋愛感情よりエロやSM要素を重視される方なら「美しき女の世界」の方が合うかも。その他の作品も、単純に男女がヤって終わりではない独特のひねり方がよかったです。