石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『極上ドロップス(1)』(三国ハヂメ、一迅社)感想

極上ドロップス 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

極上ドロップス 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

エロくて甘い百合ラブストーリー

何がエロいって、キスですよキス! 『極上ドロップス』は、学校の女子寮への入居と引き換えに、同室のお嬢様「雪緒」の下僕を申しつけられた少女「小毬」の物語。小毬ときたら初対面の雪緒に半裸にされて唇を奪われるわ、第2話でいきなり舌入れちゅーされるわ、寮の他の住人にもさんざんキスやら何やらをされるわで、ひたすらエロくて甘いシークエンスが続出なんです。「もうケイティ・ペリーの"I Kissed a Girl"なんて聴いてる場合じゃない! これを読め!」とか思ってしいました。かと言って決してただの無節操なハーレム漫画というわけではなく、全体的には小毬と雪緒のラブストーリーとして一本背骨が通った構成になっているところも、とてもよかったです。

甘いシークエンスの数々について

これまで三国ハヂメさんの作品は『百合色螺旋』しか読んだことがなかったわたくし。「Hシーンがあれだけ魅力的な作家さんだから、全年齢向けだと物足りないかも」と思ってたんですよ実は。が、一読して、「わたくしが間違っておりました」と土下座したくなりました。たしかに激しいセックス描写こそ出てこない(下着の上から触る等はアリ)ものの、ひとつひとつのキスや愛撫が痺れるほど官能的なんですよこの作品。

特にインパクトがあったのは、このあたり。

  • 他の寮生にキスされている小毬を奪い返し、みんなの前でさんざん熱いくちづけを交わしてから(さりげなく手が小毬の下着に入ってたりします)「マーキング終了 これは私の下僕ですからそう心積もりお願いします」と言い放つ雪緒
  • お弁当のデザートのさくらんぼを小毬にくわえさせ、「かんじゃダメよ」と指示。そのまま後ろから抱き締めて愛撫し、いきそうになったところで自分の唇でさくらんぼを奪い取って、改めてキスを与える雪緒

他にもドキドキもんのシークエンスが一杯ありました。全部紹介できないのが残念なほど。

ラブストーリーとしての『極上ドロップス』について

冒頭で書いたように、実は小毬は雪緒以外にもしょっちゅう触られたりキスされたりしています。でも、よくある「女のコ同士はカウントに入らないからカジュアルに楽しみましょう☆」系のお話なんかじゃないんですよ。そうではなくて、きちんと小毬と雪緒のラブストーリーがお話の柱になってるんです。それがよくわかるのが、第8話の小毬と寮長の藤家先輩とのキスシーン(p. 121)。巧みなキスの途中で我にかえって

ダメッ ですっ あたしっ 雪緒ちゃんが好きなんですっ だから……っ

と叫ぶ小毬に、藤家先輩が笑顔でこう返すんですよ。

気がついちゃったんだ? 残念――

つまり、小毬以外は皆、小毬が雪緒を好きなことがわかってて、つまみぐい的に楽しんでただけなんですよ。これはこれで不埒でやらしくてナイスなので、2巻以降も同じ路線が続いてくれると嬉しいなと思うんですけどね。ちなみに小毬が雪緒への想いを自覚するきっかけ(他カップルの行為を覗き見て興奮し、雪緒を思い浮かべながら自慰)もいやらしくて素敵だし、1巻の最後で雪緒が初めて見せるツンデレっぷりなんかもいいですよー。

まとめ

モロなセックスシーンはほとんどないのに、豊富なキスや愛撫のシークエンスが地獄のようにエロティックでたまりません。メインカップルのラブストーリーとしてじゅうぶん楽しめる上、不埒でやらしい他の寮生たちも皆魅力的でよかったです。おすすめ。