石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『Study after school』(森永みるく、コアマガジン)感想

Study after school (ホットミルクコミックスエクストラ (No.09))Study after school (ホットミルクコミックスエクストラ (No.09))
森永 みるく

コアマガジン 2001-03
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

8本中3本が百合な18禁エロコメ

8本の短編のうち、「GIRL FRIEND」「50/50」「私の心にキスをして」の3本が百合エロ。初期作品(収録作の発表年度は94〜97年)ということもあってか、一部の展開がやや行き当たりばったりな印象を受けなくもないです。また、男性とのセックス描写が混じるところも、読み手によっては好き嫌いが分かれるかも。ただし、女のコ同士の愛やイチャイチャの描写は悪くないし、いちいち同性愛をスティグマ視するようなステレオタイプが持ち込まれないところはとてもいいです。現在と少し違う絵柄も、これはこれで可愛らしくてナイス。

このへんがやや行き当たりばったり

連作の「50/50」「私の心にキスをして」は、双子のきょうだい「由香」と「由美」との姉妹百合もの。双方に男ができて、それでもお互いのことが好きというバイセクシュアル&ポリアモラス路線はいいんですが、その後の展開が迷走気味なのが気になります。姉妹百合のドキドキ感に重点を置きたいのか、皆の仲良し状態を強調したいのか、それとも心ときめく男性を見つけることの大事さを強調したいのかが今ひとつ曖昧で、オチがちょっとブレてしまっていると思うんですよ。そこがやや残念でした。

でも、女同士の愛やラブいちゃは秀逸

これについては由香と由美のお話もそうだし、小学生同士のロリレズエロ「GIRL FRIEND」もそうです。ハードコアなHシーンを求める方には向きませんが、ソフトで甘い百合エロが好みな方には合うんじゃないかと思います。ちなみに「GIRL FRIEND」の方は男女セックスは皆無。女子小学生同士の愛らしくもエロティックな関係を扱ったお話で、Hシーンもほんわかしたオチも共によかったです。

テンプレ同性愛嫌悪はありません

ありがたいことに、「女同士だからダメだ」とか「長続きしない」とかいうようなテンプレ同性愛嫌悪は皆無です。エロ漫画ゆえ、そんなことでウジウジ悩んでるヒマがあったら少しでもHを! というジャンルの要請もあるのかもしれませんが、読んでいてほっとしました。

絵柄について

リリカルで耽美度高めな現在の絵に比べると、輪郭線がやや太め。どちらかというと男性向けの、すっきりした可愛らしい絵だと思います。90年代のセーラームーンアンソロによくあったようなタイプの絵柄だなと思ったら、森永氏はもともとセーラームーン同人をやってらした方なんですね。なるほど。

まとめ

展開が迷走気味な部分はありますが、90年代に、しかも男性向けエロ漫画というジャンルでこれだけ女同士のいちゃラブを盛り込んでみせたというのは大健闘かと。現在とやや違う絵柄も、これはこれでキュートで良かったです。男が絡む展開が地雷でない方なら、おすすめ。