石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『はやて×ブレード(9)』(林家志弦、集英社)感想

はやて×ブレード 9 (ヤングジャンプコミックス)

はやて×ブレード 9 (ヤングジャンプコミックス)

火傷しそうに熱い1冊

乙女と乙女のチャンバラ活劇、第9巻。ウルトラジャンプ移籍後初の新刊です。いやー熱い! 熱すぎる! ひとことで言うと「激しい特訓を経て宿敵と対決する」という少年漫画の定石中の定石を行く展開なのですが、どこを取っても火傷しそうな熱さがあって、とても面白かったです。

綾那の意外な過去、紗枝の抱えている事情など、ややダークな要素でお話をぎゅっと引き締めつつ、剣戟のシークエンスは熱血度フルパワー。特にいいなと思ったのは、キャラごとの戦い方の描き分けです。順の忍者っぽさや炎雪のスキのない猛獣っぽさ、そして眼鏡を取られた綾那の悲愴な戦いっぷりなど、どれをとっても強烈で、ゾクゾクさせられました。単に迫力満点なだけじゃなく、キャラクタの内面がこれでもかとにじみ出るアクションであるところがたまりません。

あと、今さら気づくのも何ですが、『はやて×ブレード』って、これだけ戦いが出てくる漫画でありながら、強さのインフレが全然ないんですよね。徹頭徹尾ハイテンションで超コミカルなお話ではあるけれども、実はバトルものとしては愚直なまでにじっくりとキャラクタたちの成長を描いていく作品なんじゃないかと思います。今回もそんな泥臭さが逆にかっこよくて、よかったです。

ちなみに今回百合方面はどうかというと、順とちはるさんがイチオシ。特に順の「エロメロス」のシークエンス(p. 82)には笑いました。順が単なるエロギャグ担当ではなく、カッコイイ見せ場もきちんと受け持っているところもよかった。さらに言うと、この9巻、友情百合も熱いですよ! 

まとめ

泥臭い熱さが強烈に魅力的な1冊。友情も百合ネタもパワフルで、とてもよかったです。あまりに面白すぎて転げ回り、1巻から通して読み返したくなって、「どうせなら」と集英社から出てる新装版も全部揃えてしまうことに決めたほど。10巻も今からすごく楽しみです。