石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ひだまりスケッチ(4)』(蒼樹うめ、芳文社)感想

ひだまりスケッチ (4) (まんがタイムKRコミックス)

ひだまりスケッチ (4) (まんがタイムKRコミックス)

ほっこりほのぼの微百合な中にも、ゆのの成長が。

高校美術科の変わり者たちが住むアパート「ひだまり荘」が舞台のほんわか微百合4コマ、第4巻。絶妙の間とあたたかくやわらかいギャグはそのままに、今回は主人公「ゆの」の成長に大きくスポットが当てられています。百合漫画としては、夏目と沙英の出会いを描く番外編「夏目ができるまで」をはじめとして、「恋までは至らないかもだけどちょっとドキドキまたはモエモエ」な百合っぽさが随所にあって、たのしく読めました。

ゆのの成長について

キャラたちが進級し、ひだまり荘にも新一年生が入ってくるなど、変化の多い巻なのですが、特筆すべきはゆのの成長。「絵を描く」ということを軸にして悩んだり発見したりという一連の流れが、いつものよく計算された絵と独特の間を使ってなめらかに描かれており、面白かったです。悩まずにのほほんと突き進む宮子とのコントラストもよかった。

一回り成長したとは言え、おっとりさんなゆのが突然しっかり者に変身したりはしないのですが、お話をサザエさん的に閉じた時空間の出来事にしないところが興味ぶかいなあと思いましたね。やさしい空間ではあるけれどもきちんと時は動いていて、キャラクタに生身っぽい揺らぎや動きがちゃんとある、というところがすばらしかったです。

百合っぽさについて

描き下ろし「夏目ができるまで」がイチオシ。悶々とした切なさがあって、いいですよー。また、お約束ですが、沙英のベタ甘な発言も楽しかったです。他に特筆すべきは、3年生キャラ「有沢さん」とゆのの「バトンタッチ」(p. 41)の1コマ。理屈の上では単なる先輩と後輩のあいさつでしかないはずのシーンが、なんだか妙に可愛らしく、かつ、色っぽいんですよ。思うに、百合漫画としての『ひだまりスケッチ』の最大のポイントは、こうしたさりげない「女のコと女のコの親密な連帯(の持つ色気)」の描写にあるんじゃないでしょうか。これを見逃す手はないと思います。

まとめ

例によってガチ百合系のお話ではないのですが、「女のコと女のコの親密な連帯(の持つ色気)」がさりげなく、かつきめ細やかに描かれている作品だと思います。ゆのの成長エピソードもよかったし、いつも通り絶妙な間の取り方もすばらしかったです。おすすめ。