石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

オーストラリアのTHE Seven Network、番組から女性同士のキスシーンをカット

オーストラリアの放送ネットワークTHE Seven Networkが、視聴者からの抗議に屈して女性同士のキスシーンをカットしてしまいました。同ネットワークの夜7時台のファミリー・ドラマ"Home and Away"で今年3月半ばからレズビアンの話が始まったところ、10万人もの視聴者から苦情が来たんですってよ。さらに保守派の圧力団体からも抗議が寄せられ、プロデューサーの判断で、女性同士がダンスの後で情熱的なキスを交わすシーンがカットされちゃったんだとか。ちなみにその場面は、別に男女カップルのキスよりエロエロだとかそんなことはない、ただのキスシーンだったとのことです。

ええと。マドンナが"Justify My Love"のPVで同性同士のキスを披露してMTVから放送禁止にされたのは1990年ですよね? でもその保守的なMTVにしてから、2003年の MTV Video Music Awardsでは、マドンナがブリトニー・スピアーズ及びクリスティーナ・アギレラとキスを交わすパフォーマンスを堂々と放映してましたよね。何やってんのよ、オーストラリア!

番組に寄せられた苦情っていうのも、「家族向け番組で、子供に同性愛関係を見せるなんて!」的なものだったようなんですが、異性愛関係は朝から晩まであらゆるメディアの中でうんざりするほど見せつけるくせに、それ以外のセクシュアリティはクローゼットに隠しとけっていうのはおかしいわよ。だいたい、その「子供」がLGBTだった場合、ストレートな恋愛関係しか知らされないと「自分はおかしいんだ」と思って必要以上に悩むことになるでしょうが。そんなことをさせるのが親の愛だとでも?
あとさー、別にテレビで同性同士の恋愛を見たからって、それで子供が同性愛者になるなんてこたーないわよ。うちら、別に伝染病じゃないんですから。そもそも、ある人のセクシュアリティがそんなにもテレビに影響されるんなら、日本のテレビでひたすらヘテロカプばっかり見せられて育ったあたしが骨の髄までレズビアンだという事実をどう説明すんのよ。いいかげんに同性愛を「目にしただけで汚染されてしまうスティグマ」扱いしてパニックに陥るのはやめてほしいもんだわー。
さらに、もうひとつ。「家族向け番組だから」同性愛はダメっていうのも筋が通らないわ。同性愛者は「家族」に入れてもらえないんですか。同性愛者を家族に持つ人はこの世に存在しないんすか。ふっざけんじゃないわよー!

そんなわけで一人でプンスカ怒りつつ、オーストラリアのウェブサイトTV TonightのDavid Knox氏がこの件について語った以下のコメントに深くうなずいてしまったわたくしなのでした。

「2009年にもなって、ただのキスが"Summer Bay"(訳注:オーストラリアの連続ドラマ)にしょっちゅう出てくるストーカーだの連続殺人鬼だの誘拐犯だのよりも広告や家族の価値をおびやかすだなんて、悲しいよ」