石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

聖職者の発言を機に、バグダードで6人のゲイが殺される

イラクのバグダード県Sadr市で、6人のゲイが殺されたというニュース。シーア派の聖職者Sattar al-Battat氏が「同性愛の蔓延を取り締まれ」と主張した後での出来事です。

6人のうち2人は4月2日木曜日に殺害されました。Sadr市当局は「彼らは性倒錯者で、彼らの一族が家族の名誉を回復するために殺した」と発表しているそうです。残りの4人は3月25日に死体で発見され、全員胸にアラビア語で「変質者」と書かれていたとのこと。ちなみに少なくともこの2週間、Sadr市の金曜日の礼拝集会では、同性愛を非難する祈りが読み上げられています。

この事件が起こったSadr市のスラムは、シーア派の精神的指導者ムクタダー・サドル氏とマフディー軍を支持する人が多い地域。「昨年マフディー軍が活動を凍結し、政府軍がスラムを監督するようになったせいで同性愛が増えた」と主張する人もいるよう。実際、シーア派聖職者Sheikh Ibrahim al-Gharawi氏は、「マフディー軍の不在、性的な映画や衛星TV、そして政府の調査不足のせいで同性愛が蔓延している」と発言しています。

……なんかね。同性愛が、マフディー軍が権力を取り戻すための口実(と、ゼノフォビアの強化)に使われてませんか、これ。ゲイが不当に殺されているだけでも胸痛むのに、同性愛者の命が単なる政治的アピールの材料に使われてしまっているようで、強い憤りをおぼえます。一刻も早く事態が解決することを祈ります。

なお、こういう記事を読んで「イラクは/イスラム圏は大変だねえ。でも日本には関係ないし」と他人事みたいに思ってしまわれた方は、まずはILGAのState-sponsored Homophobia A world survey of laws prohibiting same sex activity between consenting adults(pdf)でも読まれると良いかと。試しにイラクに関する部分を拙訳してみます。

イラクは2003年にアメリカに侵攻された後、1969年の刑法典を復活させた。この刑法典は同性の成人同士の合意に基づく性行為を禁じてはいない。しかしながら、同国では戦時下で法の執行が適正に行われておらず、暗殺者集団が活動して同性愛者を殺している。

Iraq reinstated the Penal Code of 1969 after the American invasion in 2003. The Penal Code does not prohibit sexual activities between consenting adults of the same sex.46 However, as the country is under war, and law enforcement is not functioning properly, death squads operate in the country, killing homosexuals.47

つまり、イラクで同性愛者が不当に殺されているのは、イラク戦争の影響もあるわけです。日本がアメリカの同盟国であり、イラク戦争を支持する国である以上、あたしら日本人はある意味こうした同性愛者虐殺に荷担してしまっているんです。無関係ではありえないんですよ、決して。