石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『PERIDOT(全6巻)』(こばやしひよこ、講談社)感想

Peridot 1 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 1 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 2 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 2 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 3 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 3 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 4 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 4 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 5 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 5 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 6 (ヤングマガジンコミックス)

Peridot 6 (ヤングマガジンコミックス)

エロ多めの美女バトルアクション。ただしレズビアンキャラはステレオタイプ

「私には他人事なんで……」が口癖の最強女子高生「駿河マヒル」を主人公とするお色気バトルアクションもの。4巻から5巻にまたがって♀♀エピソードが出てくるのですが、レズビアンキャラが古典的な「セックスでノンケをたぶらかす妖婦」であるところにうんざり。レイプ未遂のシークエンスがやたらと多い点や、全体的にストーリーが行き当たりばったりで、最後まで伏線が回収されないところもマイナス。ただし格闘シーンの迫力と、女体のエロさはとてもよかったです。マヒルの父親のキャラもよかった。

レズビアンのイメージって、まだこんななんすか

4〜5巻で描かれる「藤崎忍編」では、マヒルの友人「楓」(♀)が、美少年の「忍」と恋に落ちます。が、忍は実は男装のノンケ美少女。興味半分で肉体関係まで持ってしまったレズビアンの恋人「初美」と別れるために、楓を初美に貢いで逃げようとしていた、というストーリーです。初美は楓をあてがわれて喜んでレイプしようとするものの、すんでのところでマヒルに阻止され、結局忍とも別れて終幕。
……レ・ファニュの『カーミラ』以来100年以上もたってるのに、まだレズビアンのイメージってこんななんすか。つまり、「純真なノンケ娘を快楽でたらしこみ、相手が別れたがっても離そうとせず、女をあてがわれれば大喜びでレイプしようとし、結局正義の味方に成敗されるセックスモンスター」みたいな。創作の世界では何でもありですから、そういう悪役を描くな、とはいいませんよ。でもあまりに古典的な偏見を寄せ集めたようなキャラで、うんざりしました。そんなわけで、百合/レズビアン漫画としては高い評価はできません。

その他マイナスポイント

まず、上記の初美×楓のシークエンスも含めて、あざといレイプ未遂の場面がめったやたらと多いこと。こればっかりと言ってもいいくらい。全年齢誌で許される範囲のエロ、ということでこうなったのかもしれませんが、あまりにも単調すぎるし、「そんなにレイプ物が見たけりゃ最初から成人向け漫画買うわ」と思ってしまうあたしのような人には合いませんでした。また、ストーリーが行き当たりばったりで、マヒルの包帯や人間不信の理由などが最後まで明かされないまま終わってしまうところも拍子抜け。いくら格闘漫画だからって、オチまで投げっ放しジャーマンにしてどうする。

でも、このへんはよかったです。

バトルにしろ女体描写にしろ、絵柄の迫力がすごいです。特に後者は、ちちしりふとももがバーンと張ったおねーさんがツボな方なら垂涎ものだと思います。あと、マヒルの格闘家の父親もとてもよかった。マッチョなオヤジでめちゃくちゃ強く、飄々としているくせにここ一番でやたらとかっこいいんですよこの人。このオッサン、もっともっと出してほしかったなあ。

まとめ

「グラマラス美女のパンモロだのレイプ未遂だののお色気シーンさえたくさん見られればいい!」という方には非常に向いてますが、ストーリーを楽しみたい方には不向きな作品かと。百合/レズビアンものとしても、古典的かつ差別的なステレオタイプが単純になぞられているだけで、新味に欠けると思います。迫力ある絵柄や、マッチョオヤジのキャラなんかは、とてもよかったんですけどね。というわけで、いろいろと残念な点が残る漫画でした。