石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『純愛かたろぐ』(江戸屋ぽち、コアマガジン)感想

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江戸屋ぽち

コアマガジン 2009-02-10
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基本ラブラブ和姦な18禁エロ漫画集(百合あり)

『アオイシロ―青い城の円舞曲―』で悶絶ものの切ない百合話をものされた江戸屋ぽちさんの18禁コミックです。百合/レズビアンものは描き下ろし短編「なめくじの涙」だけなのですが、ちょっぴり苦みをきかせたラブラブぬるぬるエロエロなお話で、楽しく読めました。その他の収録作(男女もの)も皆ほのぼの系で読みやすく、ちょっとひねったキャラ設定もよかった。全体的にエロ度はあまり高くないのですが、反面、ギャグがとても面白かったりもするので、差し引きノープロブレムかと。

「なめくじの涙」について

冒頭で描かれるホモフォビックな空気はけっこう衝撃的。というのは、

「ねえねえ知ってる? 三河千鳥の昔のあだな なめくじって呼ばれてたらしいよ」

「え――…… ありえなーい レズだってー」

という風に、レズビアンのキャラクタ「千鳥」がクラスメイトに陰口を叩かれるシークエンス(p. 181)から始まる物語だからです。ところが、実はこの千鳥は主人公「八重」の思い人。相手が同性を好きになる人だとわかればもう気持ちを隠す必要はない、ってことで告白から一気に官能シーンになだれ込む、という流れになっています。つまり、この作品のタイトルは、「なめくじが雌雄同体ということからきた悪口」と、「エロエロぬるぬる汁だくな、今にも溶けてしまいそうな女同士のHシーン」の両方を暗示するダブルミーニングになってるんですね。ありがちな同性愛嫌悪をただ表出して終わりじゃなく、そこから180度転換してラブ汁ワールドに持って行くというひねり具合が面白かったです。

その他の収録作について

「なめくじの涙」以外はすべて男女もの。陵辱や鬼畜展開はなく、すべてラブラブ和姦です。特徴的なのは、男性キャラにエロ漫画にありがちな「平凡でとりえのない男」パターンが少なく、「制服マニア」「庭師」「陸上部選手」「うどん好きのおじさん」などの性格づけがきちんとされているキャラが多いこと。どちらかというと少女漫画的な描き方だと思いますが、男性キャラへの目線に愛がある感じで、いいなあと思いました。

ギャグもよかったです

なんと言っても、うどん好きなおじさん×うどん屋の少女のエロ話「愛LOVEうどん」がすごすぎます。以下、抜粋。

僕は――…
――踏まれたい!!! 
あの…うどん達のように――…
――…しこしこ踏まれたい…!!

そう…これを一本うどんだと思って踏んでごらん…

たっ…高田さん…
大変です!! うどんがぬるぬるに…!!

この後の展開も爆笑ものです。ちなみに台詞はこんなですが踏まれ具合はたいへんにいやらしいので、和服姿のけなげなうどん屋娘の足裏で踏まれたいという秘めた願望をお持ちの方にもおすすめ。

まとめ

1編だけの百合エロ話もよかったし、その他の作品もみなラブラブほのぼの系で、楽しめました。ギャグもよかった、というか、しばらくうどんを食べるたびに肩がプルプル震えてしまいそうです。これでもう少し百合比率が高かったらもっと嬉しかったんですが、あとがきによると「漫画ばんがいち」は「兄妹と百合は禁止」だとのこと。そんなー。百合(兄妹も)OKな他誌の皆様、ぜひ江戸屋ぽちさんにオファーを!!