石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『華のパレット(1)』(戸田陽近、オークス)感想

華のパレット 1 (華陵COMICS)

華のパレット 1 (華陵COMICS)

明るくコミカルなエロ漫画(百合あり)

ボーイッシュな受けキャラ「伊吹スミレ」(♀)のもとに男女3人が群がる、という内容の18禁エロ漫画。調教系のHシーンが多いのに、終始コミカルで明るいトーンを保っているところがとても面白いです。男女エロで始まったはずが、途中からどんどんレズビアンセックスの比重が増えていくという意外性もよかった。身体の関係だけでなく、ちゃんと女のコが女のコに惚れている描写もあり、楽しく読めました。番長漫画ギャグも秀逸。

男女エロについて

最初の2話は完全男女エロのみです。アナルあり緊縛ありの調教話なのに変な嫌味やエグミがないのは、

  • 男性キャラの「藤堂先輩」の、変態(誉め言葉)にしてナルシストな性格が面白すぎる
  • そもそもスミレがドMで藤堂に惚れており、実は調教を喜んでいる

という2点が大きいかと。一見「いやよいやよも好きのうち」パターンのようでいて、実はこれ、「キレのいいギャグでコーティングされたラブラブSMセックス話」なんですよね。陰惨なエロがダメな方にも、これなら読みやすいんじゃないでしょうか。

レズビアン要素について

第3話「茶道部へようこそ」で、スミレは寮で同室の「アキラ」(♀)と元々同性愛関係にあったという設定が突然登場。茶道部茶室での女のコ同士のHシーンも出てきます。かなり無理やりな展開ですが、面白いので問題なし。ちなみに途中から藤堂が登場して3Pに突入してしまったりもしますが、よくある「両手に花で男大喜び」的なハーレム展開には全然ならないところが興味深かったです。3話では、藤堂の立ち位置はむしろコメディリリーフまたはトリックスター的なものであり、愛とセックスの中心はあくまでスミレとアキラに置かれていると思います。

それでもとにかく男が混じるのはヤダ、という方には第4話以降がおすすめです。ここからスミレに惚れている新キャラ「ウニちゃん」(♀)が登場し、お話はほとんどレズビアン関係一色になっていきます。マゾヒストのはずのウニちゃんが思いあまってスミレを犯すうちにサディズムに目覚めるあたりとか、エロスと笑いとSMとがうまく組み合わせてあって、ちょっと森奈津子さんの小説を連想したりしました。セックス後の、ラブラブだけどとことんアホな会話もよかったです。

あえて♀♀方面の難点をあげるなら、セックス描写でいくつか、女のコだったらまずしないようなことが見受けられることでしょうか。たとえば、「絶対当たりっこない角度なのに、膣が相手の膣に当たっているとして興奮」とか。あるいは、「潤滑剤としてボディシャンプーを使用」とか。しかし、それはそれ、これはこれ。方便としてスルーできる範疇の描写だと思います。

過去話はなぜか番長漫画

唐突に始まるスミレとアキラの過去話がなぜかトラディショナルな番長漫画であるところにウケました。長ランを来たスミレは完全にウテナ系の王子様キャラで、そんなところも面白かったです。このお話はまだ完結していないため、2巻を読むのが楽しみです。

まとめ

エロスとギャグとSMとのブレンド具合が巧みな作品でした。♀♀話もえちくてラブラブで、かつ笑いもあってよかったです。男性キャラがひとりでも混じると即ダメな方には合わないかとは思いますが、そうでなければぜひご一読を。