石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『とある科学の超電磁砲(1〜3)』(冬川基[画]/鎌池和馬[原作]、メディアワークス)感想

とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 (1) (電撃コミックス)

とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 (1) (電撃コミックス)

とある科学の超電磁砲 02―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

とある科学の超電磁砲 02―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

とある科学の超電磁砲 3―とある魔術の禁書目録外伝 (3) (電撃コミックス)

とある科学の超電磁砲 3―とある魔術の禁書目録外伝 (3) (電撃コミックス)

人気ラノベの外伝コミック。超面白いし百合部分もナイス

人気ライトノベル『とある魔術の禁書目録』の外伝コミックです。ストーリーをごく大雑把に説明すると、「“超能力開発”がカリキュラムに組み込まれた学園都市におけるバトルもの」といったところなんですが、小説未読でも十分楽しめる上、まず漫画として面白い! 面白すぎて1巻から3巻まで一気に読了してしまいました。キャラクタの魅力やいきいきした絵柄、かっちりとした構成の妙など、1編のSFコミックとして隙のない傑作だと思います。百合部分も、ガチカプこそ誕生しないもののすっごくよかった。とりあえず3巻までで「第1幕完」といった展開なのですが、4巻以降もとても楽しみです。

百合部分について

カップリングは「白井黒子(しらいくろこ)と御坂美琴(みさかみこと)」、「佐天涙子(さてんるいこ)と初春飾利(ういはるかざり)」の2組。この中でガチっぽいのは黒子と佐天のみであり、今のところ相思相愛の恋愛は成立していません。それでも非常に面白く読めたのは、

  • 特に黒子の好き感情が本気であること
  • 女のコ同士の連帯ががっつり描き込まれていること
  • セクハラの扱いがまともなこと

の3点が大きいです。

黒子の好き感情について

この人はもうマジで美琴にベタ惚れ。しかもその惚れっぷりがどこまでもアグレッシヴかつコミカルなところがいいです。で、普段がそんなだからこそ、たまに見せる弱気な姿(3巻p. 134とか)がかわいそうでかわいかったりして、その落差がまたいいんですよ。美琴の方には恋愛感情がまるでないだけに、かなわぬ恋ではあるんですが、思わず応援したくなってしまいます。

女のコ同士の連帯について

これについては2〜3巻での佐天と初春の関係にとどめをさします。いつもふざけ合って(いや、ふざけているのは主に佐天ですが)ばかりいる2人だけに、特に2巻の会話シークエンス(pp. 122 - 125)なんて、読んでて胸が一杯になりますよ。端で見ている人が「痴話ゲンカ?」といぶかしむのも無理はないほどに濃い絆がそこにはあり、もうこれだけ描いてくれたら恋愛になんてならなくても全然いい! と力強く思ってしまいました。

セクハラの扱いについて

黒子が美琴のナマ乳を揉むわ、佐天も初春のスカートをめくるわとセクハラ場面も多いのですが、それらが決して「女のコ同士はカウントしない」系のなあなあ路線になっていないところがよかったです。触る側は本気で触り、触られる側は本気で怒ってみせるというある意味フェアな関係がそこにはあり、女のコから女のコへのそうしたアプローチがきちんと「性的なもの」と認識されているお話だと感じました。あと、同意なしで触られた側がちゃんと怒るっていうのは、女性キャラが決して「受け身なだけの触られ役」じゃなく、人格を持った人間扱いされてるってことで、そんなところも嬉しかったです。

SFコミックとしての『とある科学の超電磁砲』

これがまた爆裂に面白い。黒子や美琴の「強さ」の見せ方も鮮やかだし、キャラたちのいきいきした性格づけや豊かな表情、バトルシーンの迫力など、どれをとっても一級品。構成も巧みで、さりげなく仕込まれたピースの数々がかっちりと音を立ててあるべきところにはまっていく快感が味わえます。あと感動したのは「木山春生(きやまはるみ)」というキャラの使い方。ひと癖もふた癖もあるあの人を使って表題通りに科学と超能力とを絡めてみせ、第1幕のクライマックスをぶちかました後に続きへの引きを残す、という展開が素晴らしかったです。特に3巻の、壮絶なのに陰惨すぎず、人間味あふれるのにお涙頂戴に陥らないという絶妙のバランスは、木山によって保たれていると思います。また出してくれないかなあ、この人。

まとめ

SFコミックとしても百合ものとしても強烈な面白さを誇る作品だと思います。小説未読でも全然いけるので、興味がおありの方はぜひ!