石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『瞳のフォトグラフ(1)』(GUNP(杜講一郎×さくらあかみ)、ソフトバンククリエイティブ)感想

瞳のフォトグラフ 1 (Flex Comix)

瞳のフォトグラフ 1 (Flex Comix)

爽やか思春期物語。百合部分はステレオタイプ

ひょんなことから個性派揃いの写真部に入部した女子高生「ハルカ」の物語。写真部内に女子カップルがいたり、ハルカ自身もツンデレ部員の「イヅミ」と徐々に友情を深めたり、というあたりが百合テイストではありますが、話のウエイトはあくまで写真とキャラたちの成長に置かれています。百合キャラがけっこうステレオティピカルなところも今ひとつ。全体としては、写真の楽しさ・面白さは十分に伝わってくるものの、絵やお話の構成にはこなれていない感が目立ち、今後に期待といったところ。

百合テイストな部分について

まず、部内の女子カップル「京(かなどめ)シオリ」と「一宮ユイ」について。ユイはともかく京さんの方はかなり「レズビアン=ニンフォマニアックな誘惑者(セクハラもあるよ)」というステレオタイプ通りのキャラで、今のところ特に見るべきものはないかと。2人がじゃれ合っているカット(p. 118)なんかは可愛らしいんですが、それだけです。2巻以降でもう少し目新しい要素が出てくればいいんですが。

次にハルカとイヅミについてですが、こちらはイヅミが一方的に突っかかってはいるものの着実に友情を深めつつあり、嬉し恥ずかしの仲良し感がキュートです。ただしイヅミはブラコンだったりするようですし、ハルカにしても天然なだけで、別に女子が好きな人ではないんですよね。特に百合を標榜したお話でもないことですし、あくまで「友情&成長ストーリーの中に、ありがちな多情型の百合キャラ(京)も混ぜてあります」ぐらいの立ち位置にある作品ととらえておくのが吉だと思います。

その他の部分について

写真漫画としては十分にわかりやすく、面白いです。実在の機種がいろいろ出てくるところが興味深いし、イヅミのツンデレ具合に写真ネタがうまく絡めてあるところなど、楽しく読めました。この漫画を読んで写真を始めたくなる人も多いのではないでしょうか。

ただし、絵とストーリーについてはややぎこちなさが目立つ感じが否めません。まず絵ですが、キャラの見分けがつきにくい上に、圧倒的に左向きの顔ばかりという画面構成に違和感を覚えます。顔の向きについては、気のせいかと思って実際にカウントしてみたんですが、左向き:右向きの比率はどの回でも2対1からせいぜい3対2。同人誌ならともかく、商業作品でこの偏り加減というのはちょっとないんじゃないかと。

次にストーリーについては、巻のラストの第6話でヒナに何が起こったのかが何回読んでも理解できないのですが、これはあたしの頭が悪いせいでしょうか? ひょっとしたら2巻で謎が明かされるのかもしれませんが、この構成では話のヒキを作ったというより、単なる説明不足に見えてしまうような気が。少なくとも、人ひとり行方不明になって(しかも、誘拐を思わせるカット付きで)いたのに誰も事情を追求せず(厳密には、追求する場面がひとつもなく)、ニッコリ笑って皆で記念写真して1巻終わりって、意味がわからないんですが。

まとめ

百合としては、メインストーリーはたぶん友情止まりだし、ガチカプ(のひとり)もテンプレ多情キャラだしで今ひとつ。非百合部分でも、絵とお話にややぎくしゃく感が目立つ作品でした。ただし、写真入門・カメラ入門漫画としては面白いし、その部分にひかれてファンになる人は少なくないかも。とりあえず、今後に期待です。