石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

小説『武林クロスロード(4)』(深見真、小学館)感想

武林クロスロード 4 (ガガガ文庫 ふ 1-4)

武林クロスロード 4 (ガガガ文庫 ふ 1-4)

第1部完。リョウカは強くなり、大きな分かれ道が。

面白かったです! リョウカの成長やシュンライとの愛、そして1~3巻に出てきた女傑たちの活躍など、娯楽作品かくあるべしといった充実ぶりでした。百合エロ方面もバラエティ豊かでよかったです。お話がかつてない大きな分岐を迎えたところで第1部完となっていますが、第2部もとても楽しみです。

リョウカの成長について

ここがもっともよかった。これまではシュンライに守られる立場だったリョウカがぐっと強くなり、いっぱしの武人になってるんですよ。アシュティタの砦や永楽台での戦いなど、アクションを通じてリョウカの成長ぶりがありありとわかるようになっており、楽しめました。クバンカサを前にしたシュンライの台詞もよかった。もともと単純な「シュンライが男役、リョウカが女役」みたいなジェンダー・ロールには決して縛られない話ではありましたが、今後はさまざまな面でリョウカがシュンライを守る展開も出てくるのではないかと楽しみです。

リョウカとシュンライの愛について

相変わらずポリアモラスなエロスに満ちた作品ですが、その中でもリョウカとシュンライの愛がひときわ輝いてました。ディズニー映画チックな1対1の排他的ロマンティック・ラブだけが愛だと思っている方には向かないかもですが、あたしはこのおおらかでパワフルな恋愛観がとても好きです。特にこのへんとか大好き。

色々な女の人を抱いちゃうけど……シュンライ様は特別で…」
「リョウカ……」
「愛しています。シュンライ様」
「ああ、リョウカ……私も……愛してる」

♀♀エロ方面について

「武林と言えばふたなり」とお思いの方。今回はヒュンラさんがこんな可愛いことになったりしてますよ。

シュンライの口が、ヒュンラの乳首をとらえる。口の中で転がすと、甘い悲鳴が。
「ああっ……こういうの好き……」とヒュンラ。
「龍鳳双具よりも?」
「うん……指と舌……好き」

一方もちろん龍鳳双具セックスも登場しますし、淫魔のパオシン(口絵を見て『さすがにこれはどうよ』と思ったらその通りのキャラクタだったので大変納得しました)なんかも大変なことになってます。さすがは帯に力一杯

注意!! 本作には暴力シーンその他過激な表現が含まれています

と書かれている作品だけのことはある、バラエティ豊かなエロエロぶりでした。というわけで、お子様は隠れて読みつついろいろと道を踏み外すといいんじゃないでしょうか。

女傑たちの活躍について

1~3巻に出てきた女傑たちが縦横無尽の活躍を見せているのが楽しいところ。キャラクタがたくさん出そろった今になって気づいたんですが、こうしてみるとキャラごとに特徴的な戦い方をさせるというのはうまい手法ですよね。巻をまたいでいても、「あ、この武器はあの人!」「これは毒手のあの人!」などと鮮やかに思い出すことができますから。落ちぶれてみっちりと調教されている人あり、復活して力強く戦っている人ありの毀誉褒貶具合も面白かったです。

また、ジャン国のムーハイ島が一種の梁山泊となって、リョウカを慕う女たちが続々と集結しているところなんかにもワクワクさせられました。お話が大きな分かれ道を迎えた今、このリョウカ軍(に、なるのかな今後?)の存在が、これからの展開の大きな要になるのではという気がしています。

まとめ

今回もパワフルで面白い1冊でした。愛もバトルも熱くてよかったし、これまでに出てきたたくさんのキャラたちがしっかりとお話に組み込まれているところも楽しかった。頼もしく成長したリョウカが今後どのような活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。