石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『すもも★あんみつ(1)』(神堂あらし、一迅社)感想

すもも★あんみつ (1) (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)

すもも★あんみつ (1) (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)

百合なサブキャラありの萌え4コマ

鬼族の姫「李(すもも)」の人間界での生活を描くドタバタギャグ4コマ。百合がメインテーマの作品ではありませんが、サブキャラに女性が好きな女性がいます。形としてはよくある多情な誘惑者としてのレズビアン像に近いものの、嫌味のない描き方で、楽しく読めました。他のキャラにもそれぞれ独特のひねりがきかせてあり、単純に4コマ漫画としても面白かったです。

ガチ百合キャラ「木蘭(もくらん)」について

サブキャラクタの木蘭は、李いきつけの甘味屋の女主人。女のコ全般が大好きで、

胸は大きさじゃないわ…
色と形と舌ざわりよ!!

なんてことを堂々と叫ぶ(p.84)セクハラ大魔神です。一見ありがちなニンフォマニア型のレズビアンキャラに見えなくもないのですが、よく見ると

  1. 実は行動の上ではたいしたことはしていない
  2. 一応、特定の想い人はいる

というのがポイント。この人、「新境地開拓しすぎ」(p.65)と突っ込まれるほど逞しすぎる妄想と、それを片端から淡々と口に出す性格こそ困りものなんですが、嫌がる相手に無理矢理手を出すことはほとんどないんですよ実は。言い換えるなら、「百合妄想専門で、しかもそれを口に出す(が実行はしない)岡本夢路」みたいなもんで、実害はあんまりないんです。大好きな「撫子(なでしこ)」にだけは思わず襲いかかる場面がないでもないのですが、きちんとそこで殴られて鼻血出したりしてるところがさらにいいなと思いました。

要するに、セクハラ的なキャラを出しつつも、「女が好きな女=誰彼構わず実際の行為に及ぼうとする」だの、「女同士の行為はノーカウントだから少しぐらい触ってもいい」だのという陳腐なパターンに陥る前にきちんとブレーキがかかるという描き方なんですね。おかげで安心して読むことができました。

その他のキャラについて

どいつもこいつもひとクセあって面白かったです。特に、李の教育係の「鶯(うぐいす)」の性格のねじれ具合が楽しかった。また、「浅葱(あさぎ)」の欲望アリアリの恋心(ヘテロラブですが)なんていうのも、可愛くかつエロくてよかったです。「異世界の姫が、教育係やマスコットキャラを連れて人間界で生活する」という物語の大枠そのものは特に珍しくないと思うのですが、とにかくキャラたちの性格づけに新味があふれていて、最後までワクワク読み進めることができました。

まとめ

ガチ百合キャラ・木蘭の扱い方がフェアだし、その他のキャラも皆いきいきしていて、楽しく読めました。百合メインの作品ではありませんが、「百合も出てくる、ちょっとスパイスのきいた萌え4コマ」をお探しの方におすすめ。