石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『大島永遠作品集・とわRemix』(大島永遠、一迅社)感想

大島永遠作品集・とわRemix (IDコミックス DNAメディアコミックス)

大島永遠作品集・とわRemix (IDコミックス DNAメディアコミックス)

百合ものとしては『とわ缶』とほぼ同じ評価です

2004年発行の作品集『とわ缶』のリミックスバージョン。掲載作入れ替えに加えて大幅加筆、新作描き下ろしなど、『とわ缶』とはまた違う印象の1冊となっています。が、百合ものとしては妙にヘテヘテな「Rosehip Diary」再録と、オチが肩すかしな「Melty Kiss〜百合マンガに挑戦」があるだけで、物足りない印象は否めません。ただし百合以外のハチャメチャコメディやクロスドレッシングものは十分面白かったので、そちらを目当てに買うというのはありだと思います。

「Rosehip Diary」について

絵・台詞とも大幅に修正されており、『とわ缶』収録バージョンではクッサいホストの紋切り型そのものだった由希が、もう少し人間寄りのキャラクタになっていると感じました。また、

キミの中の女らしさ(フェミニテ)の虜なんだ…!

という迷台詞が別の台詞に置き換えられ、男女役割分業マンセー色が薄くなっているところもよかった。エロシーンが旧バージョンより整理され、あざとさを減らして純愛度を上げているところもナイス。ただしお話の大筋自体は変わらないので、結局女性同士によるヘテロロマンス再演に見えてしまうという印象は否めません。「旧バージョンよりは読みやすいけれど、百合として読むには物足りない」というのが正直な感想です。いっそもっと割り切ってネタに走ってくれたら、ギャグとしての評価もできたかもしれないのですが。うーん。

「Melty Kiss〜百合マンガに挑戦」について

タイトルから薄々わかる通り、百合っぽく始まって結局ギャグ(非百合)でオトす作品です。なので、百合ものとしてはあまり期待しない方がよろしいかと。ただしこの作品、同作者さんの『女子高生』の番外編なので、本編のファンならそれはそれで楽しく読めるんじゃないかとは思います。

その他の収録作について

女装してネットアイドルとなった「康介」が意外な結末を迎えるエロ短編「ケモノミチ」や、下品ネタが光る「年の瀬家族会議」、「萌え」なるものをチクリと皮肉る「セーラー猫耳宇宙人天使巫女魔法使いポッキーちゃん☆」など、とても楽しく読みました。このうち一番好きなのは「年の瀬家族会議」。これだけキュートな絵柄でここまでお下劣なギャグ、という落差がたまりません。

まとめ

百合ものとして読むには今ひとつ物足りませんが、他の収録作が十分面白いので、これはこれで元が取れたかなあと。作者さんのファンなら、買いでしょう。