おとこのこは魔法 (バーズコミックス ガールズコレクション)
- 作者: さかもと麻乃
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2009/07/24
- メディア: コミック
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ヘンテコでキュートなファンタジー作品集(百合あり)
オリジナリティあふれるファンタジー短編集。面白かったです。タイトルからはとても百合作品が入ってるとは思えないんですが、友情ものと、友情からちょっと足を踏み出したものの計2種の百合話が収録されています。百合ものもそれ以外も、一風変わった世界観と、表情豊かなキャラたちがたまらなく魅力的です。ファンタジー短編集としても、友情プラスアルファな百合漫画としてもおすすめ。
オリジナルな世界観について
ファンタジーなのに設定にぜんぜん手垢がついていないというか、他に類を見ないヘンテコワールドがずんずん描写されていくところが痛快です。ちょっと吾妻ひでおや高橋葉介やジョナサン・キャロルを思わせるような、「わが道を行く」っぽいスタイルが素敵でした。
百合作品2篇について
「LESSON」
可愛い友情もの。ドラッグカルチャーを思わせるようなキテレツな世界設定に不思議な説得力があり、あれよあれよと読み進んでしまいました。「よつば」で飛ぶ場面の美しさ、そして少女ふたりの感情面のリアリティが楽しかったです。
「大天使のソウルフード(前・後)」
天使の「ユリエル」が、ライバル天使「レジエル」と人間の魂を取り合うお話。天使がなぜか和服姿で草履履き、という独自路線が光ります。キャラの表情がよくてよくて、後篇でユリエルが己の気持ちに気づくシークエンスには激しく胸打たれました。天使キャラだけでなく、男性キャラの表情も超チャーミングなところがまたよかった。ちょっとさみしくてすがすがしいオチもナイス。
その他の作品について
どの作品もキャラに目ヂカラがあるというか、表情がおっそろしく雄弁なところがいいです。あと、どの話も、謎の仕掛け方と解き明かし方が絶妙でした。ファンタジーでありつつも、ただの雰囲気漫画には決して陥らず、読者を驚かせたり膝を打たせたりする部分がきちんと仕込んであるんですよね。表題作のオチとか、唸らされました。
まとめ
キャラの魅力も、ストーリーの組み立ても、独自の風変わりな世界観も光りまくりのファンタジー短編集。(微)百合なお話も、可愛かったり(『LESSON』)きゅーんとさせられたり(『大天使のソウルフード』)で、よかったです。というわけで、おすすめ。