石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『いいなり!! 吸血姫(1〜2)』(草壁レイ、メディアファクトリー)感想

いいなり!!吸血姫 1 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

いいなり!!吸血姫 1 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

微百合な吸血コメディ

「至高の血」を持つ女子高生「灰嶋依紀(はいじまいのり)」と、そんな依紀の血を狙う吸血鬼「ルクレツィア」が織りなすドタバタコメディ。吸血鬼もので百合っぽいお話というのはカーミラ以来腐るほどありますし、特殊な血をもつ主人公というのも『アカイイト』他いろいろあったと思うんですが、不思議と手ずれた感じがせず楽しく読めました。軽妙なギャグとていねいに仕込まれた伏線、さらに百合っぽさをあざとく前面に押し出さずにちょっとずらして見せているところなどが面白かったです。

ギャグについて

抱腹絶倒タイプのギャグ作品ではないのですが、クスリと笑わされてしまうおかしみがあちこちに散りばめられています。モンスターの造形や、依紀のおさななじみ「ゆい」のズレ加減などが特によかったです。

伏線について

伝奇ものでありながら、妙に大上段に構えたりせず、あくまでもさりげなく伏線が示されていくところが心憎いと思います。特に、お話の鍵を握っているとおぼしきじいさんをああいう性格にするところが大好きです。

百合っぽさについて

メインの2人を「凸凹ギャグコンビ、ごくたまに雰囲気百合」路線に留める一方で、依紀に夢中なゆいがどんどんキモい人になっていくところが面白かったです。なんというか、役割分担が非常にうまい感じ。ちなみに雰囲気百合にしても、吸血シーンの色っぽさは尋常じゃなかったりします。特に2巻で、ひざまずいて指先から血を吸うところとかね。お話が恋愛モードに傾きすぎないところで上手にストップをかけつつ、女のコ同士のドキドキをかすかにほのめかしてみせる、というスタンスの作品だと思います。

まとめ

めちゃくちゃ斬新とは言わないけれど、キャラの見せ方やお話の組み立て方がとても丁寧な作品だと思います。百合目当てで読むのなら、キモいけれども憎めないゆいに注目するもよし、依紀とルクレツィアの雰囲気百合を楽しむもよし。ただし、大筋はあくまでドタバタ伝奇コメディであって、百合はフレーバー程度なので、そこだけご注意を。