石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『乙女戦士ラブリー5!』(城之内寧々、一迅社)感想

乙女戦士ラブリー5! (IDコミックス 百合姫コミックス)乙女戦士ラブリー5! (IDコミックス 百合姫コミックス)

一迅社 2009-11-18
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巨乳とフリルが乱舞する特異な学園戦隊百合

フリフリロリ服の美少女戦士「ロリータ5」が全裸のエコ怪人と戦うという学園百合コメディです。ひたすら巨乳とフリルとSMチックなエロを描きまくるという思い切りのよさに拍手。また、百合ものにはめずらしく愛とセックスをイコールで結びつけていないところも面白かったです。ただし、画面がみちみちでやや息苦しく感じられる点と、攻め受け固定で男顔の俺様攻めばかりというヘテロ恋愛臭はマイナス。合う合わないが極端に分かれそうな作品だと思います。

思い切りのよさについて

巨乳でフリフリでエロティックなコメディとして、どこまでも背骨が一本通りまくった作品です。キャラたちの乳はあの『彼女はデリケート』(カジワラタケシ、講談社)を連想させるほどのでかさですし、お洋服のフリルやレースははあくまで緻密かつゴージャス、そして毎回登場するセックスはほぼSMエロ系といった具合。ひとつでも属性が合わない方は避けた方が賢明かと思われるほどの濃さであり、ある種の爽快感すら生み出しています。

愛とセックスを混同しないところについて

「愛がなければ性的接触を持つべきでない」とか「一対一の関係こそ至上」みたいな変な色眼鏡がないところが面白かったです。小娘同士のプラトニックラブか、せいぜい1対1の排他的ロマンティック・ラブに基づくエロスばかりがもてはやされがちな百合漫画界にあって、この自由度の高さは貴重。いや、プラトニック・ラブやロマンティック・ラブが悪いと言いたいわけではないんですよ。そればかりが繰り返されて、ジャンル全体の広がりが生まれてこないのはつまらないという意味ですよ、念のため。『乙女戦士ラブリー5!』では、メインカップルの関係こそ1対1ですが、そこにもある種のひねりが加えられており、最後のページの会話などとてもよかったです。

でも、このへんは今ひとつ

画面構成が過密

画面が常に人物でみっちみちで、「間」がほとんどないところが気になります。細かいところまで描き込まれたお洋服や装身具は確かに美しいのですが、もう少し読者の視線誘導に緩急をつけてほしかったところ。

攻め受け固定で俺様攻めばっかり

しかも攻めの皆さまが長身・アゴとんがり系の商業BLキャラチックな人ばっかりなんですよね。それが萌える、という声もあることは重々承知ですが、百合ものなのにここまで全部「男×女」という異性愛のコードをなぞらなくても、と思いました。

まとめ

趣味に走りまくった、異色の百合コメディだと思います。異色であるがゆえに好き嫌いが極端に分かれそうですが、「百合=清楚」とか「百合=純愛」とかの紋切り型にまったく迎合しない心意気やよし。個人的には男性めいた俺様攻め過多なところは合いませんでしたが、全体的には同作者さんの『アップル・デイ・ドリーム』より好きです。