石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ちゅうに!(1)』(しんやそうきち、一迅社)感想

ちゅうに!  (1) (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)

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ごくうっすら百合なほのぼの萌え4コマ

タイトル通り、中学2年の女のコたちが活躍する萌え4コマ。おっとりキャラの「みやこ」が主人公「あまみ」をひたすら可愛がっているところがほんのりと百合っぽいです。ただし、この作品におけるキャラたちはあくまで「ヲタ的な妄想によって捏造された中2女子」であり、中学生マンガと言うよりも、(作者さん自らあとがきで書かれている通り)ファンタジーマンガだと思います。そのへんが気にならない人で、気軽に読めるゆるギャグ系微百合4コマがツボな方には合うのではないかと。

みやことあまみについて

とにかくみやこによる頭ナデナデに注目。ちょっと背の高いみやこが、自分より小さなあまみを何かというとナデナデして可愛がるところがすんごく微笑ましいんですよ。と言うと単なる「かわいいもの萌え」路線の関係かと思われてしまいそうですが、実はそうでもないんです。「行くときはみやこも一緒よ」という発言や四つ葉のクローバーのエピソードなどが、このふたりの関係にごくかすかな、でも拭い去れない百合の香りを添えています。あからさまな恋愛・性愛寄りのお話ではぜんぜんないのですが、この関係は百合だとあたしは思いました。他にもいくつか微百合カプは登場するのですが、メインカップルであるこのふたりがいちばんよかったです。

中2女子の造形について

帯の「中2女子は天使です。」という文言からして、「ああ、捏造宣言だなあ」と思いました。中2を「天使」だなんて言い切れるのって、現実の中2との接点ゼロで、妄想上の中学生相手にハァハァしているロリオタぐらいなものですもん。

現実世界の中学2年生って、中学生の中でももっとも手に負えない学年ですよ。1年生はまだ小学生の延長だからおとなしいものですし、3年生は受験を控えて沈静化するんですが、中2は疾風怒濤の時期です。学校に慣れてたががゆるんできたところに思春期の自意識と反抗心と性ホルモンが大爆発し、自分も周囲も手負いの獣みたいになるお年頃です。それをなんだかペット的に美化して「天使」とまで言ってしまうところには「妄想乙」とげんなりしてしまいます。いや、マーケティング的にはそれが正しい戦略なのかもしれませんが。

あ、でもそこまでアレな妄想臭が漂うのは帯やカバーの惹句だけで、漫画自体はもうちょっとまともな雰囲気ですよ、念のため。困り眉毛の「ななえ」先生というキャラを使ってさりげなく大人の視点も示されていたりして、たいへん面白く読みました。ただし、やはり全体的にどこかペット的に改竄された「中2」の世界であることは否定し切れないと思います。作者さんがあとがきで

中学2年生マンガですが――一種のファンタジーみたいな感じかなーと。

とお書きになっている(p. 120)のは、そういうことなんじゃないかと。

ギャグはゆるめです

ギャグは萌え4コマにありがちなゆるゆるまったり系。肩の力を抜いてクスリと笑いたいときに良い作品だと思います。

まとめ

みやことあまみの微百合な関係が可愛らしくて、たいへんよろしゅうございました。まったりした笑いもナイス。本の中身は帯やカバーほどキモくないので、現実との乖離については「ファンタジー」ということで納得しておきましょう。