石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『カシオペア・ドルチェ(2)』(高木信孝、一迅社)感想

カシオペア・ドルチェ 2 (IDコミックス 百合姫コミックス)

カシオペア・ドルチェ 2 (IDコミックス 百合姫コミックス)

やっぱりキスの意味が軽い……

ドールマイスター見習いのアンナと、ドール作りの先生(おねえさま)ことエルザの恋模様を描く百合漫画です。1巻に比べるとストーリーらしいストーリーが生まれているところや、ドール作りの場面が増えているところなどはとてもよかったと思います。しかし、相変わらず女のコ同士のキス(の多く)がファストファッションの大量生産品なみに安っぽいところがどうにもこうにも。いくら「通常のラブコメの3倍のキスシーン(※当社比)」と帯に謳おうと、ひとつひとつのキスの濃度が3倍希釈(いや、もっと薄いか?)では元も子もないと思うんですけど。あと、細かいことですが、出てくる英語が微妙におかしいところも気になりました。なんで日本語にしないんでしょうか、あれ。

よかった点いくつか

今回はアンナとエルザの恋が1巻よりクローズアップされており、さらに新キャラ・カレンからアンナへのマジ恋愛と告白イベントなどもあって、1巻よりもストーリーの起伏が大きくなっていると思います。そこはとてもよかったです。また、ドールの製作過程や、アンナのドールにかける意気込みなどが大きく扱われているところも楽しく読めました。グラスアイの扱いなど、一般的な反応を一応押さえておいてからまったく違う切り口で描写してあったりして、思わず目を見張らされました。

でも、キスが軽すぎ

相変わらず、「男女でこれをやったら絶対に殴られるかセクハラで訴えられるだろう」というペースで無節操な百合キスが乱発されているところが気になります。女同士ならお気軽に唇を奪ってもいい、というのは、結局「女同士はカウントしない」的な甘えというか異性愛至上主義が根っこにあると思うんです。恋愛がらみのキスシーンはさすがにもう少し意味深に描かれてはいますが、それ以外の部分でのキスの扱いがとても軽いために、せっかくのラブラブシークエンスの感動も半減してしまっている感じ。どんなに熱烈にちゅーしてようと、「えー、どうせ女同士のキスなんてたいしたことないってことになってるんでしょこの世界では」と冷めてしまうんですよ、個人的に。そのへんが残念でした。

英語表現が謎

あちこちに出てくる英語の表現が微妙に変です。とりあえず1点だけ指摘すると、アンナが七夕の短冊に書いたこの文章が謎。

I want to make the splendid doll in the future.

これだとアンナは将来、ある特定の(他の人も既に知っているような特定の)すばらしい人形を1体作るってことになってしまいます。お話の趣旨と反してませんか、これ。さらに、wantが使ってあるところもなんだか違和感が。願い事ならwishでしょ。どうせキャラたちは全部日本語で喋っているのですから、書き言葉も日本語にすればよかったのに。

まとめ

ストーリーにメリハリが出てきたところと、ドールハウスが舞台という設定がいよいよお話に生かされてきたところは純粋に評価したいと思います。でも、女のコ同士のキスの扱いが相変わらず軽い点と、そのために肝心のラブラブちゅー(という設定で描かれているとおぼしきキス)まで感情移入しにくくなってしまう点はマイナスかと。いや、人によっては逆に「美少女同士のキスの回数が豊富で、その中に相思相愛キスもあるなんて最高!」という意見も出てきそうな作品だとは思いますが、あたしにはどうしてもそういう解釈ってできないんですよ。あたしにとっては、女性同士のキスってもうすこし大切なものなので。