石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『える・えるシスター(3)』(邪武丸、一迅社)感想

える・えるシスター 3 (IDコミックス REXコミックス)

える・えるシスター 3 (IDコミックス REXコミックス)

手堅く笑える学園コメディ。百合百合しさはややマイルド化。

エロい生徒会長「一菜」と背の高い妹「ふたば」の姉妹愛を柱とする学園百合コメディ、第3巻。着実に笑わせてくれる安定感が魅力です。2巻と比べると百合ネタはややおとなしめですが(とはいえ『百合で触手』とか『百合で尿ネタ』とかはふつーに出てきてますが)、その分「ふたばのライバル誕生」という新展開に力が入れられており、楽しく読めました。

笑いについて

小ネタがいちいち楽しく、確実に笑わせてくれる感じ。笑いつつなごみ、なごみつつまた笑うという感じで、読んでると肩の力が抜けていくのが実感できます。1巻のように異性愛規範を振りかざして笑いを取ろうとする部分が出てこないところがありがたいです。2巻の大技「ロケッティア桂事件」が再び登場しているところもよかった。

百合ネタについて

前巻に比べるとやや控えめな感じだと思うんですが、これは主にふたばの側のおとなしさによるものかと。2巻ほどには嫉妬したりきわどい発言したりしてませんからね、この人。しかし一菜の側はしょっぱなから

「豪華! 飛び出す触手でふたばちゃんかわいくぐるぐる巻き」

を狙ってアホなトラップを仕掛けてみたり(p. 16)、過去の尿ネタを熱く語ってみたり、定番の「風邪で看病」シチュエーションで大興奮したりと、ほぼいつも通りだったりします。まとめると、「表立ってのラブラブ描写は控えめながら、ゆるぎなき百合バカ状態は健在」って感じでしょうか。

なお、体の接触という面では、女性キャラ同士で「柔肉(やわにく)を揉みしだく」とか「背中につつつと指を走らせる」とかのエロっぽい場面が続出です。アホだわえっちだわで非常に楽しいんですが、どれも恋愛や性愛とは無関係なシークエンスなので、百合っぽさの面では個人的にはノーカウント。むしろ小中居家のお母さんの単なる指わきわき(p. 121)の方がレズビアン・エロティシズムに満ちているんじゃないかと思います。

新展開について

ふたばのライバル的な新キャラ「姫宮宇佐美」(ヒメ)がいい味出してます。一菜とふたばの関係だけを追ってラブラブのインフレ状態をまねくのではなく、新たなシスコンを登場させて別方面から「おねえちゃん大好き」ストーリーを見せていくというところが非常にいいと思いました。

まとめ

こうしてみると1巻のあのヘテロノーマティヴィティー臭が嘘みたい。恋愛っぽさこそ薄いものの(一菜が暴走してはいますが、あくまで『姉妹』百合漫画ですから)、安心して笑える百合コメディだと思います。