石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

『秘密の女子寮』(おがわ甘藍、松文館)感想

秘密の女子寮 (別冊エースファイブコミックス)秘密の女子寮 (別冊エースファイブコミックス)

松文館 2004-05
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ニンフェット系百合エロ漫画

ロリータ色の強い18禁エロ漫画です。短編「カルキ・デザイアー」と、計4話の「ニンフィディア連詩」に、女のコ同士のエロスが登場します。百合ものもそれ以外も、エロ漫画でありつつどこか詩的な情緒をたたえているところが面白かったです。ただし、「ニンフィディア連詩」での性虐待のとらえ方が、虐待者にとって都合良く読めてしまうところはひっかかります。あと、百合話でも必ず男女セックスの場面が登場するので、ヘテロエロが地雷な方はご注意を。

「カルキ・デザイアー」について

プール帰りの女のコふたりが、同級生男女のセックスをのぞき見しながらレズビアン・セックスにいそしむお話。冒頭で描かれるスクール水着のゼッケン「5-1」からわかる通り、かなりのロリ系(男のコはショタ系)です。ちなみに全部ラブラブ和姦で、微笑ましいじゃれ合いっぷりもキュート。セミの鳴き声や髪に残るカルキの臭い、日本の田舎家の雰囲気などの演出もよかった。なお女のコ同士の行為は、結局貝合わせや69に帰着するところが退屈と言えば退屈ですが、そこまでの流れは繊細でよかったです。

「ニンフィディア連詩」について

ロリというよりニンフェットものと呼びたい連作。夢見がちな主人公「はるな」が、全寮制の学校で、他の女のコたちとポリアモラスなセックスを繰り返すというお話です。だんだん性に奔放になっていく彼女たちは、そのうち男子生徒とも交わるようになるのですが、実ははるなの過去にはある事件が影をさしており、その発覚とともに物語は幕を閉じることになります。

はるなのまるで赤毛のアンのような少女らしさが楽しいし、女生徒たちの妖精ごっこのエロティシズムもユニークだと思います。また、少女性の賛美が男性嫌悪とセットになっていないところもいいなと思いました。ただし、はるなの過去のとらえ方が、性虐待を美化しかねない内容になっているところだけはいただけませんでした。いくらはるなに、

生きている者同士は抱きしめあうとよろこびを感じるようにできているんだもん

と言わせた(p. 125)ところで、大人が子供と性交渉を持つのはただの犯罪でしょう。それを素敵なこと、すばらしいことと認識せざるを得なかったのがはるなの悲劇だと考えることもできなくはないのですが、第4話での先生方とはるなの描き方を見る限り、この作品にははるなの考えこそが美しく正しいと暗示する気配がありはしませんかね。性虐待加害者やその予備軍にとって都合がよすぎる展開で、このあたりはちょっとついて行けませんでした。

その他の作品について

上記以外の収録作は全て、「つるぺた少女が年上の男性とセックスする」というヘテロもの。自分から望んでする話もあれば、弱みを握られて脅迫されたり、立場を利用して性虐待されたりする話もあります。とりあえず女のコたちの表情や肢体はみな可愛いらしいのですが、処女がイキまくったり、「心はイヤなのに身体が感じてしまう」パターンだったりというテンプレ展開が多いです。

まとめ

詩的な雰囲気と少女たちの愛らしさが最大の魅力の短編集だと思います。百合エロ作品では、「カルキ・デザイアー」のラブラブぶりやノスタルジックな夏っぽさがよかったです。同じく百合ものの「ニンフィディア連詩」も悪くはないのですが、後半での性虐待への意味づけに難があり、読後感は今ひとつ。その他の収録作は、「よくあるエロ漫画の男女ものに、この作者ならではのロリ少女を代入してみました」といった感じかなあ。繊細な絵柄で描かれるロリータ少女がツボで、お約束展開が気にならない方に合うのではないかと。